履歴書に職歴が書ききれない場合の対処法と書き方例

履歴書を記入しているビジネスパーソンのイメージ画像

転職活動を行う際、応募時に提出する履歴書には「職歴」の記載欄が設けられています。しかし、転職をはじめ、異動や出向などの経歴が多い場合、記入欄に書ききれず、どのように書いて良いのか困ることもあるでしょう。そこで、履歴書に職歴を書ききれない場合の対処法や書き方例、職歴欄に記載する際の注意点などについて、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。

履歴書の職歴は省略可能?

履歴書の職歴は省略しないことが基本です。転職や他社への出向などで所属した社数が多かったとしても、職歴を省略せずに履歴書にはすべて記載しましょう。「在籍期間が短い」「試用期間中に退職した」「休職期間がある」といった場合でも、所属していた企業はすべて記載します。

なお、履歴書で職歴を省略しても、採用後、社会保険の手続きなどの際に実際の職歴がわかる可能性があります。場合によっては「経歴詐称」と捉えられ、不信感を抱かれるかもしれないため、職歴はすべて明記しましょう。

履歴書に職歴が書ききれない場合の対処法と書き方例

履歴書の職歴欄に書ききれない場合、対処法はいくつかあります。書き方の例も交えてご紹介するので、ご自身の状況に応じ、組み合わせて対処しましょう。

職歴欄が大きい履歴書を使用する

履歴書のフォーマットには、厚生労働省が推奨している様式のほか、さまざまな種類があります。職歴が多く、書ききれないことが予想される場合、学歴・職歴欄のスペースが大きい履歴書フォーマットを使用すると良いでしょう。

ExcelやWordの履歴書テンプレートをダウンロードして使用する場合は、フォーマットを自身でカスタマイズすることも可能です。他の記入欄に余裕があれば、スペースを調整して学歴・職歴欄のスペースを増やすなど、レイアウトを変更する方法もあります。

学歴の義務教育を省略する

転職活動の場合、履歴書に記載する際に小学校や中学校などの義務教育期間の学歴を省略するケースも見られます。高等学校卒業以上の学歴がある場合、高等学校の入学から最終学歴の卒業歴まで記入しましょう。

職務経歴書に詳細を記載する

履歴書の職歴欄では、所属した企業はすべて記載する必要がありますが、所属部署・所属拠点(支店・営業所など)・担当職務・役職などまで記載することは、スペース上難しいかもしれません。履歴書に書ききれない場合は、履歴書の職歴欄は所属企業への入社・退職のみ簡潔に記載し、詳細は職務経歴書に記載する方法もあります。

「1社1行」でまとめる

職歴欄は、一般的には1社への「入社」「退職」を2行に分けて記載します。しかし、書ききれない場合は、以下の例のように、1社の入社と退職を1行にまとめても問題ないでしょう。

月  学歴・職歴                         
20XX4○○株式会社 入社(20XX年3月 退職)

             

改行せずに「現在に至る」「以上」を記載する

職歴欄では、直近の職歴を記載した最終行の下に「現在に至る」「以上」と記載して締めくくるのが一般的です。その場合、2行分のスペースを使うため、以下の例のようにまとめて1行で記載しても問題ありません。

月  学歴・職歴                         
20XX4○○株式会社 入社(現在に至る 以上)

履歴書の職歴欄の基本的な書き方

履歴書の職歴欄について、基本的な書き方のポイントを押さえておきましょう。

年号を統一する

入社・退職などの年号を記載する際、和暦・西暦のどちらを使ってもかまいません。ただし、1枚の履歴書内に和暦と西暦が混在することがないよう、統一しましょう。

和暦から西暦、西暦から和暦に転換する際には、誤りがないように注意が必要です。卒業年早見表なども参照し、正しく記載しましょう。

正式名称で記載する

所属企業名は、省略せずに正式名称で記載します。法人格についても、「(株)○○」などと略さず、「株式会社○○」と記しましょう。なお、学校名についても「○○高校」と略さず、「○○県立○○高等学校」など正式名称で記載します。

以前勤務していた企業名が、社名変更や吸収合併などにより、在籍時と現在では変わっていることもあるでしょう。その場合は、以下の例のように、現在名称か旧名称のどちらかをカッコでくくって併記します。認知度がより高い社名を最初に記載すると伝わりやすいでしょう。

月  学歴・職歴                         
20XX4○○株式会社(現・△△株式会社) 入社
月  学歴・職歴                         
20XX4△△株式会社(旧・○○株式会社) 入社

学歴・職歴は時系列で記載する

履歴書の学歴・職歴欄は、学歴→職歴の順に記載します。さらに、それぞれ時系列に沿って記載する「編年体式」の書き方が一般的です。職務経歴書の場合、自身のキャリアや応募先にアピールしたい内容に応じて、直近の職歴から書き始めて過去へさかのぼる「逆編年体式」や、特定のテーマで職歴を記す「キャリア式」を使うことも有効ですが、履歴書では時系列通りに記載しましょう。

履歴書の職歴欄の書き方に関するQ&A

履歴書の職歴欄の書き方について、抱かれることが多い疑問について解説します。

異動や出向などが多い場合の書き方は?

一般的には、異動によって所属部署が変わった場合、あるいは出向で他社に勤務した期間がある場合、年月と部署名・社名を記載します。学歴・職歴欄に書ききれない場合は、以下の例のように、まとめて簡潔に記載しても良いでしょう。異動・出向歴などは職務経歴書で補完できるため、履歴書のスペースに余裕がない場合は記載しなくても問題ありません。

月  学歴・職歴               
20XX4○○株式会社 入社  営業担当として△△支店、□□支店に勤務
月  学歴・職歴                         
20XX4○○株式会社 入社  営業部、マーケティング部などに勤務

グループ会社などに出向した場合も、以下のように「出向」「帰任」を1行にまとめても良いでしょう。

月  学歴・職歴                         
20XX4○○株式会社 入社 
20XX10△△株式会社へ出向 (20XX年3月に帰任)

転職回数が多い場合はどのように書いたら良い?

所属した企業数が多く、職歴欄に収まらない場合、「○○株式会社 入社(20XX年3月 退職)」と、1行に収めると良いでしょう。

それでもすべての在籍企業を書ききれない場合は、比較的長く勤務した企業名を優先して記載し、直近の職歴を記載した下に、「他にも所属した企業があり、職務経歴書に記載する」という旨を入れておくのも一つの方法です。以下、書き方の一例です。

月  学歴・職歴                         
20XX4○○株式会社 入社 (20XX年3月 退職)
20XX10△△株式会社 入社 (20XX年6月 退職)
20XX4□□株式会社 入社 (20XX年9月 退職)
20XX1××株式会社 入社
20XX現在に至る                 以上
※上記のほか3社を経験。詳細は職務経歴書に記載しております

「転職回数が多いことでマイナス印象を抱かれるのではないか」と不安を感じている場合は、「退職」を記載する際、簡潔に背景・理由を付記しても良いでしょう。例えば、「家庭の事情により退職」「○○事業に携わることを目指し、退職」などです。詳しく伝えたい場合は、職務経歴書に記載しましょう。

自身でキャリアが一貫していないと悩んでいる場合の書き方のポイントは?

これまで所属した企業の業種がバラバラであるなど「キャリアに一貫性がないように見えるのではないか」と不安を抱くこともあるかもしれません。その場合は、履歴書の「自己PR」欄などを活用し、一貫して大切にしてきたこと、活かしてきたスキルなどを記載しておくのも一つの方法です。例えば、「社会課題を解決する商品・サービスにこだわってきました」「マーケティングスキルを活かし、多様な業種へ幅を広げてきました」など、軸となるものを記載しておくと採用担当者の納得を得やすいでしょう。履歴書の自己PR欄には限りがあるので、詳細は職務経歴書に記載することも有効です。

履歴書に職歴を書ききれないときは転職エージェントへの相談も有効

履歴書に職歴を書ききれない場合、スペース内に収めるため、何らかの情報を省略する必要があります。しかし、応募企業が興味を持ちやすく、アピール材料となり得る情報は省かず記載したほうが良いでしょう。記載内容の取捨選択を見極めるためにも、自身の「強み」を理解しておくことが大切です。

転職エージェントは、客観的視点で「強み」の分析をサポートできる場合もあります。それをもとに、転職市場や応募企業に対して何がアピールポイントになるのか、アドバイスを受けられることもあります。履歴書作成に悩んだ場合も、転職エージェントのサポートを受けるという方法もあるでしょう。

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アドバイザー

粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。