TOEICや英検を履歴書でアピールするには?書いて良いレベルと書き方を解説

グローバル化が進む現在、ビジネスにおける英語力はますます重視され、転職の募集要項でもTOEICや英検などに言及する企業が増えてきました。そんな中、スコアや資格を持っていても「どの程度なら履歴書に書いて良いのだろうか」と迷う方は多いのではないでしょうか。TOEICや英検を履歴書に記載する場合の書き方、どのようなレベルであればアピールになるか、履歴書に記載する際の注意点などを、組織人事コンサルティングSeguros代表コンサルタントの粟野友樹氏にうかがいました。

TOEICスコアや英検の資格を履歴書に記載する時の書き方

履歴書にTOEICのスコアや英検の資格について記載する時は「免許・資格」欄に記入します。それぞれの書き方をご紹介しましょう。

「TOEIC Listening&Reading」の書き方

一般的に「TOEIC」と言えば、リスニング・リーディング能力を測る「TOEIC Listening&Reading」(以下TOEIC L&R)を指します。また、個人で申し込んで受験する場合の実施形式を「公開テスト」と呼びます。

履歴書には下のように、取得年月、試験の名称である「TOEIC公開テスト」、次いで「○点取得」と記載します。TOEICスコアの取得年月日は試験日となります。公式認定証の上部中央に記載された「Test date」の日付になるので、そちらを確認して記入しましょう。

【TOEIC公開テストの記載方法】

免許・資格
2022 4 TOEIC公開テスト 650点取得

TOEICの受験形式には、個人で受ける「公開テスト」の他に、学校や企業を対象とした「団体特別受験制度」による「IPテスト」があります。IPテストでは、最新の問題ではなく公開テストの過去問題が出題され、またスコアを取得しても公式の認定証は交付されません。
履歴書には下のように「IPテスト」と記載しますが、上記の理由で、企業によっては正式なスコアとして認めないケースもあるので確認が必要です。

【TOEIC IPテストの記載方法】

免許・資格
2022 4 TOEIC IPテスト 650点取得

「TOEIC Speaking&Writing」の書き方

TOEICには「L&R」の他に、スピーキング・ライティング能力を測る「TOEIC Speaking&Writing」(以下TOEIC S&W)というテストもあります。スピーキング200点・ライティング200点の、計400点満点となります。

TOEIC S&Wのスコアを書く場合は、試験の名称である「TOEICスピーキング&ライティング 公開テスト」と記した後に「スコア○点/400点取得」と記し、さらにそれぞれ「スピーキング ○/200点」「ライティング ○/200点」などと内訳を書きます。なお、TOEIC S&Wのスコアは単独では評価されません。あくまでもTOEIC L&Rを補足するものであり、履歴書に書く場合は両方を併記することが基本だと考えましょう。

【TOEIC S&Wの記載方法】

免許・資格
2021 10 TOEIC公開テスト 650点取得
2022 4 TOEICスピーキング&ライティング 公開テスト スコア280/400点取得
(スピーキング140/200点、ライティング140/200点)

またTOEICには「TOEIC Bridge Test」というものもありますが、こちらは入門編レベルのテストなので、たとえ満点でも履歴書でアピールする材料にはならないようです。

英検の「級」の書き方

下のように、取得年月、英検の正式名称である「実用英語技能検定」「○級合格」と記入します。英検の場合、取得年月日は合格証明書の発行日となります。証明書の右下に明記してある年月を確認して記入しましょう。

免許・資格
2022 3 実用英語技能検定 2級合格

履歴書でアピールできるTOEICのスコアの目安は?

求めるスコアや条件は企業によって異なる

TOEICは、英語を母国語としない人を対象にした、英語のコミュニケーション能力を評価するテストです。世界共通テストということもあり、多くの国内企業がビジネス英語のレベルを測る基準としています。一般財団法人国際コミュニケーション協会の調査(※1)によると、英語を使用する部署の中途採用において「TOEIC L&Rのスコアを要件としている」企業が10.2%、「参考としている」が43.6%。「新たに要件・参考とする可能性がある」とする企業が7.4%。合計すると全体の6割強となっています。

しかし、当然ながら応募企業によって求める英語力は異なります。募集要項に基準となるTOEICスコアを掲載する企業もあり、特に外資系企業や海外とのやり取りが発生するポジションなど、日常的に英語を使用する場合は、より高いスコアが求められるでしょう。従って、一概に「○点以上なら履歴書に書けば評価される」とは言えないものです。まずは企業情報や募集要項をしっかり読み、必要なら直接問い合わせるなどして、どのくらいのレベルであれば評価の対象になるのかを見極めると良いでしょう。

英語を使わない仕事なら620点前後が目安

上記を踏まえた上で、一般論として「アピールになる」と考えられるスコアの目安はどのくらいでしょうか。

日常業務において英語を使用しない企業の場合は、TOEICの平均スコアを上回っていれば一定のアピールになると考えられます。ここ1、2年のTOEIC公開テストの平均スコアは600〜620点台で推移していることから、620点を上回れば、英語を習得するための基礎的な力と、目標に向かって継続的に努力する素養があるという評価になるでしょう。
一方、TOEIC S&Wの近年の平均スコアは、スピーキングが120点台、ライティングが140点台で推移しており、それが1つの目安となるでしょう。

英語を使う仕事なら700点台以上が目安

一般的に、ビジネスで通用する最低限の英語力の目安がTOEICスコア700点と言われています。日常業務で英語を使う企業に対して「最小限の対応が英語でできる」という認識を与えるのが700点であれば、アピールに繋げるには750点前後が必要と考えて良いでしょう。こうした企業に応募する場合、TOEICのスコアが600点台では、逆に「英語があまり得意ではない」という印象を与えてしまう可能性があります。
また、外資系企業やグローバル企業の中には800点以上のハイスコアを求めるケースもあります。その中でアピールに繋げるのであれば、さらに高いスコアが必要になるでしょう。

履歴書でアピールできるのは英検何級から?

一般的に履歴書に書くことが多いのは英検2級以上

実用英語技能検定(英検)は、日本で最もポピュラーな資格のひとつ。ビジネス英語のリスニング・リーディングが中心であるTOEICに対して、英検は日常会話から社会的なテーマまで、実際に英語を使用する場面を幅広く想定しています。また、3級以上では二次試験として面接によるスピーキングテストがあり、総合的な英語力が必要とされます。

一般的に、転職の履歴書に記載して評価される英検の資格は2級以上(高校卒業・大学受験レベル)。ビジネスシーンで必要最小限の英語対応ができるレベルと評価されるでしょう。また、準1級、1級に合格していれば、日常業務で英語を多用する企業においてもアピールになるでしょう。

TOIECや英検は転職で有利になる?

当然ながら英語力が必要な仕事においては、求められるレベルのTOEICや英検を取得していない人よりも、取得している人の方が評価される可能性が高いでしょう。なお現在は、募集要件や望ましいスキルとして、英検ではなくTOEICのスコアを例示している企業が多いことから、TOEICのスコアを取得する方が、選考でアピールに繋がる機会が多いかもしれません。

英語が必須ではない仕事の場合、TOEICや英検の資格が選考で考慮されるかどうかは企業によって異なり、それらを記載することで必ずしも有利になるとは言えません。しかし募集職種に限らず、転職先が求める英語力によっては入社後のキャリアパスが広がる可能性もあり、その意味ではスコアや資格を記載することが有利に働くケースもあるでしょう。

TOEICや英検は何年前までの成績なら有効?

基本的にスコアや資格の有効期限はない

厳密に言えば、TOEICのスコアにも英検の資格にも有効期限はありません。
TOEICは公式認定証の再発行期限が2年間とされていますが、2年を過ぎると取得したスコアが無効になる訳ではなく、2年以上前のものでも履歴書に記載することはできます。英検の資格にも有効期限はなく、求められるレベルにあれば、合格した年月にかかわらず履歴書に記載しても良いでしょう。なお英検には合格証明書の発行期限はありません。

企業によっては直近の成績や証明書を求める

とはいえ、企業は応募者の現在の英語力を知りたいため、あまりに取得年月が古い場合は記載しても評価されにくいことがあります。また、企業によっては、履歴書の記載内容を証明する公式認定証や合格証明書の提出を求められることもあります。

従ってTOEICの場合は、公式認定証の発行が可能な2年以内のスコアを記載することが通例となっており、期限を過ぎたら再度受験しておくのが望ましいでしょう。受験後にスコアが出るまでには3週間ほどかかるため、履歴書に新しいスコアを記載する場合は、早めに準備することをお勧めします。また、英検も合格年月があまり古いと評価の対象にならない可能性があるため、注意が必要です。

再受験できなかった場合は「勉強中」もアピールに

もしも履歴書の提出までにTOEICや英検を更新する余裕がない場合は、何も書かないよりも、過去に取得したスコアや資格を記載しておいた方が良いでしょう(企業へアピールできるレベルにある場合)。面接で取得時期について質問されたら「今回は再受験が間に合わなかった」と説明しましょう。

また、英語を勉強中の人は履歴書の備考欄に記入しても良いでしょう。例えば「次のTOEIC公開テストで700点取得を目指しています」「英検2級合格に向けて勉強中」など、現在の目標を書くことで、英語学習に前向きな姿勢をアピールすることができます。

また、TOEICや英検の資格は持っていないが、ビジネスレベルの英語力があり、すでに英語を使って仕事をしているという場合も「英語力:ビジネスレベル」などと記入することでアピールできます。英語力を磨いた背景として「海外へレポートを出していた」「英語でプレゼンをしていた」など、具体的な使用経験を記載すると良いでしょう。

【アドバイザー】

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

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