【転職回数が多い場合の職務経歴書】キャリアをアピールする方法を例文付きで解説

転職回数が多い場合、職務経歴書をどのように書けばいいのか分からない方も少なくないようです。転職回数が多いと、職歴欄のボリュームが増えてアピールポイントがうまく伝わらない可能性があります。そこで、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が、採用における影響や、職務経歴書でアピールしたいポイント、的確にキャリアを伝える方法などを解説します。参考となる職務経歴書の例文もご紹介します。

転職回数が多いと不利になる?

転職回数が多いと、転職では不利になるのでしょうか。転職回数の多さが採用に与える影響を解説します。

転職回数よりも経験・スキルが重視される傾向にある

転職市場において、複数の転職経験を持つ人も少なくないため、転職回数が多いことが必ずしも選考で不利になるとは限りません。一般的に、採用担当者は転職回数の多さよりも在籍期間を確認しているケースが多く、半年~1年と在籍期間が短い場合は、定着性を懸念される可能性があります。在籍期間が極端に短くなければ、基本的には企業が求める経験・スキルの有無を重視されるでしょう。特に、IT業界や外資系など人材の流動性が高い傾向のある業界では、経験・スキルや実績などを重視し、転職回数にこだわらない傾向があります。

企業が納得する理由を伝えるようにする

転職回数が多くても、キャリアに一貫性があれば企業が納得しやすくなります。例えば、「1社目で○○の経験を身につけ、領域の幅を広げるために2社目に転職し、○○のスペシャリストになるために3社目に転職した」など、スキルアップのための転職であることを伝えられれば、アピールにつなげられるでしょう。

また、所属企業の倒産や事業撤退、家族の転勤や介護による退職など、やむを得ない事情がある場合も、背景を説明することで納得を得やすくなります。キャリアに対する一貫性ややむを得ない事情がなく、勢いや職場への不満などで転職を繰り返し、採用担当者にそのことについて問われた場合、取り繕った回答をすると不自然な印象を与えてしまうかもしれません。「転職を繰り返した結果、自分は○○に向いていることに気づきました。今後は腰を据えて○○に取り組みたいと考えています」など、前向きな姿勢を伝えるようにしましょう。

転職回数が多い場合の職務経歴書の書き方

転職回数が多いケースでも、職務経歴書の書き方次第で、経験・スキルの幅広さを強みに変えることができるでしょう。転職回数が多い場合の、職務経歴書の書き方のポイントを解説します。

職種・業務内容別に書く「キャリア式」でアピールする

履歴書と違って、職務経歴書は年代順に職歴・経歴を書くというルールはありません。転職回数が多く、ボリュームが増えてしまう場合は、時系列で企業ごとに経歴を並べる「編年体」ではなく、職種・業務・プロジェクトごとに書く「キャリア式」の職務経歴書がお勧めです。キャリア式は、応募先企業にアピールできる経験・スキル・実績を整理して伝えられるというメリットがあります。転職回数自体は履歴書で伝わりますが、キャリア式を使用することで、核となる強みをアピールしやすく、転職理由や転職回数が多いことの背景なども理解しやすくなるでしょう。

経歴は省略しないようにする

転職回数が多いと、職務経歴書に記載する内容も多くなるため、一部を省略したいと考える方もいるかもしれません。しかし、経歴は省略しないことが基本とされています。。省略した場合、応募企業から経歴詐称を疑われ、内定取り消しや解雇などのトラブルにつながるケースもあるので注意が必要です。記載内容が多いことが気になる場合は、経歴は省略せず、経歴の詳細説明を簡略化するなどして工夫しましょう。

職務経歴書の枚数は「3枚程度」に収める

職務経歴書の枚数は、できる限り「3枚程度」に収めましょう。複数企業での経験を網羅的に記載すると、情報過多になってしまう可能性があります。情報が多すぎると、強みが伝わりにくくなり、採用担当者からもプレゼン力や論理的思考力などを懸念されるかもしれません。

過去の職務経歴のうち、応募先企業の求める経験・スキルなどにマッチしている部分を整理し、職務経歴書の前半部分で伝えることが、転職回数が多い場合の職務経歴書作成のポイントです。応募先企業にマッチしない情報は極力控え、1枚目の時点から応募企業で活躍できる可能性が伝わるような内容を意識しましょう。

「キャリアに一貫性があること」を明確にする

異なる業界や職種への転職を経験している場合、キャリアに一貫性があることを伝えましょう。企業は基本的に、自社に定着して活躍してくれる人材を求めています。キャリアに対する目的や意図を持たず、一貫性のない転職を繰り返しているように見える場合は、「短期間で離職する可能性がある」と考え、定着性を不安視されかねません。これまで経験した企業や業界、職種、業務内容などの共通点を掘り下げた上で、キャリアの軸を明確にし、しっかりとアピールすることが大切です。

転職の理由や目的をポジティブに伝える

一般的に、職務経歴書には転職理由は記載する必要はありませんが、転職回数が多い場合は背景を補足しておくと採用担当者の理解が深まる可能性があります。転職回数が多くても、それぞれの転職理由や目的を明確にすれば、「なぜ転職を繰り返したのだろう?」という採用担当者の疑問を払拭できるでしょう。

転職理由を記載する場合は、キャリアの軸を明確にしつつ、「特定の分野における専門性を身に付けるため」「組織の立ち上げを経験するため」「経験領域を広げるため」など、ポジティブな理由・目的を伝えることがポイントです。

「専門スキル」の高さをアピールする

高い専門スキルをアピールすることで、転職回数の多さをカバーできるケースもあります。また、管理職、専門職を募集している場合は、多様な企業や業界を経験していることが歓迎されるケースもあるでしょう。

なお、多くの企業では、スキル面のみで判断せず、自社の企業文化にマッチしていることを重視する傾向があります。スキルアップやキャリアアップなどを目的とした転職理由を応募書類で強調しすぎると、「当社でもスキルを身につけたら、また転職するのでは」と定着性を懸念される可能性があります。応募書類では、応募する仕事にマッチしたスキルだけでなく、組織への貢献実績や意欲なども書いたほうが良いでしょう。

応募企業に活かせる実績・経験は客観的・具体的に書く

応募企業に活かせる実績や経験があれば評価につながりやすくなります。実績・経験を伝える際には、規模感や担当範囲を伝わりやすくするために、数字や異業界・異職種でも分かる固有名詞などを用いて、客観的・具体的に書くことがポイントです。また、それを活かして、「入社後にどのように貢献できるのか」に触れておくことで、入社後の活躍イメージを描きやすくなるでしょう。

「自分の強み」と「求められるスキル」を掛け合わせる

入社後に活躍・貢献できることを的確に伝えるために、自己PRは「自分の強み」のみでなく、応募先企業で「求められるスキル」と掛け合わせてアピールしましょう。応募先企業の業務内容や働き方にマッチする強みを伝え、入社後の姿をイメージしてもらうことがポイントです。特に、転職回数が多い場合、多様な業界・企業経験で発揮した強みの共通点を抽出することが大切です。キャリアの軸を明確にし、応募企業でどのような活躍・貢献をして、どのようなキャリアを築いていきたいのかをアピールしましょう。求められるスキルを掛け合わせることで、「求められるスキルを理解している=企業研究をしっかりしている」「強みがマッチしている=活躍可能性が高い」という判断がしやすくなるでしょう。

転職回数が多い場合の職務経歴書(キャリア式)の例文

職務経歴書

20xx年x月x日
氏名

【職務要約】

営業・営業企画として●年間経験を積んだ後、事業企画として事業課題にかかわるデータ分析・課題設定から事業計画の立案、推進まで事業企画全般に●年間携わってまいりました。特に現職の5ヵ年計画の立案では、プランの策定から遂行までを仮説検証型で進め、業務改革目標の達成に成功しております。20xx年、課長に昇進してからは、プロジェクトの統括と並行し、メンバー15名のマネジメントにも携わっております。

 

【職務経歴】

<事業企画に関する業務>

短期、中期目標の設定、および達成に向けた戦略の企画・立案
・事業企画の策定、売上・利益目標の設定
・事業部門(全国8支店、20営業所)への予算・目標配分
・組織体制の調整
・営業戦略立案、情報提供

●主な実績
・生産性向上プロジェクト(営業系)
業務効率改善ツールの導入提案により、1年間で30%のコスト削減を達成
・既存事業の見直しプロジェクト(業務システムの見直し、改善)
インターネット販売事業において業務フローの安定化および新たな業務ツールの導入、オペレーション構築で、1年間で約30%のコスト削減を達成
・5ヵ年計画プロジェクトの立案に向けた、経営ボードの運営/長期経営計画の立案
資本政策(株主間の利害相反を緩和するための、ベストポジション戦略策定)の実施

<マネジメントに関する業務>
課長として、メンバー15名のマネジメント業務
・業務進捗に関するマネジメント(進捗率・達成率から進捗を管理、個別メンバーのサポート)
・メンバーの目標管理、評価基準の設定
・人材育成マネジメント(1on1の導入・実施。適性の判断と、適切なポジション・業務を検討)

<営業・営業企画に関する業務>
消費財・IT広告の提案営業
・流通・小売チェーンに向けた提案営業
・法人顧客に向けた提案営業
・Webマーケティング

 

【活かせる経験・知識・技術】
・事業企画業務全般
(データ分析による、仮説検証~事業計画~実行計画立案~プロジェクト企画、推進)
・メンバーおよび業務マネジメント、プロジェクトマネジメント、人材育成マネジメント
・プレゼンテーションスキル
・マーケティングスキル
・PCスキル(Word、Excel、PowerPoint、Access)

 

【保有資格】
・TOEIC 800点(20xx年xx月)

 

【自己PR】
現職の事業企画部門では、短・中期から長期までの全ての事業計画において、主にデータ分析による実行計画の立案から推進まで計画全般に携わってまいりました。外部コンサルティング会社と連携して実施したプロジェクトでは、大幅な業務効率化・コスト削減(昨対:約30%削減)を実現することができました。また、内部管理制度の見直しを徹底し、企業独自の問題点の発見および課題解決にも貢献しました。

●●業界にて新規事業を展開されている貴社で、これまで培ってきた経験を活かして事業計画の策定・推進し、事業の成功に寄与したいと考えております。

 

【職務経歴】
株式会社●●●●(20xx年x月~20xx年x月)
【事業内容】消費財製造販売事業(□□□上場)
【資本金】□□□万円 【売上高】□□□円(20xx年度) 【従業員数】□□□名
・20xx年x月~20xx年x月 営業本部 第1グループ
約●年間、消費財の法人向け営業を経験。無形商材の営業職に挑戦したいと考え、2社目に転職。


株式会社●●●●(20xx年x月~20xx年x月)
【事業内容】IT広告代理店事業
【資本金】□□□万円 【売上高】□□□円(20xx年度) 【従業員数】□□□名
・20xx年x月~20xx年x月 営業部
・20xx年x月~20xx年x月 営業本部企画課
IT広告の法人向け営業を約●年間経験。営業企画の業務にも関わる中、個客ごとの企c画提案より、より大規模な企画に携わりたいと考え、営業企画職として3社目に転職。


株式会社●●●●(20xx年x月~20xx年x月)
【事業内容】IT広告代理店事業(□□□上場)
【資本金】□□□万円 【売上高】□□□円(20xx年度) 【従業員数】□□□名
・20xx年x月~20xx年x月 経営本部 営業企画室 主任
営業企画を約●年間経験。企画・マーケティングスキルや分析能力を、組織全体の経営企画に活かしたいと考え、4社目に転職。


株式会社●●●●(20xx年x月~現在)
【事業内容】クラウドシステム販売事業
【資本金】□□□万円 【売上高】□□□円(20xx年度) 【従業員数】□□□名
・20xx年x月~20xx年x月 経営統括部事業企画課 主任
・20xx年x月~現在 経営統括部事業企画課・課長

以上

転職回数が多いことが気になる場合は、転職エージェントやスカウトサービスの利用も有効

転職エージェントによっては、応募書類の書き方や面接対策など、転職活動に関する様々なアドバイスを行っています。転職回数が多いことが気になる場合は、転職エージェントに相談してみることも有効です。経験・スキルを重視する企業の紹介や、応募書類・面接のアピール方法など、転職に役立つアドバイスを得られるでしょう。

転職エージェントへの相談は、直接サービスに申し込む方法と、スカウトサービスに登録して転職エージェントからのオファーを待つという大きく2つの方法があります。ぜひ検討してみましょう。

リクルートダイレクトスカウトに登録すると、あなたの匿名レジュメを見たヘッドハンター・企業からスカウトを受け取ることができます。レジュメは「基本情報」や「職務経歴」、「希望条件」などの登録をするだけ。より効率的に転職活動を進めることができます。

職務経歴書を作成する際の関連ノウハウ記事一覧

職務経歴書の基本の書き方
(3種類テンプレート付)
職務要約の書き方職務内容の書き方
活かせる経験・知識・技術の書き方資格の書き方自己PRの書き方
志望動機の書き方退職理由の書き方役職の書き方
履歴書と職務経歴書の違い封筒の書き方送付状(添え状)の書き方
複数社の経験がある場合の書き方転職回数が多い場合の書き方PCスキルの書き方
職務経歴書のサイズと枚数フォントの選び方用紙の種類
アドバイザー

粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。