志望動機は「書き出し」が重要!採用担当者に伝わる書き方のポイントと例文

デスクトップパソコンを操作しながら考え事をしている様子の人

履歴書の志望動機欄や志望動機書を作成する際、「書き出し」によって印象が左右されることがあります。採用担当者に伝わりやすく、興味を持ってもらうための志望動機の「書き出し」のポイントや注意点などを、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。志望動機の基本構成、企業が確認しているポイント、職種別の例文もご紹介します。

志望動機の書き出しはなぜ重要?

採用担当者は多数の応募書類に目を通しているため、なるべく短時間で効率的に応募者を理解したいと考えているケースは少なくありません。結論である応募企業を志望した理由を、冒頭の「書き出し」で端的に伝えることで、採用担当者がすぐに把握することができます。

志望動機の基本構成と企業が確認している点

志望動機には、採用担当者が知りたい情報をきちんと盛り込むことが大切です。志望動機の基本構成と、企業が確認しているポイントをお伝えします。

基本構成

  1. 応募企業を志望した理由
  2. 活かせる経験・スキル
  3. 入社後に実現したいこと

企業が見ている点

志望動機の記述で、企業はどのようなポイントに注目しているのでしょうか。当然ながら、選考で重視しているポイントは企業によって異なりますが、確認している内容として以下が挙げられます。
これらを意識して記載内容を構成しましょう。

  • 自社をしっかりと調べており、理解しているか。
  • 転職の目的や今後目指すことが自社でかなえられそうか。
  • 経験・スキルを自社で活かして活躍できそうか。
  • 自社の理念・価値観・風土にマッチしているか。
  • 入社意欲が高いか。

志望動機の「書き出し」のポイント

志望動機の書き出しでは、以下のポイントを押さえておくと採用担当者に伝わりやすくなります。

結論を先に伝える

志望動機に限らず、第三者に何かを伝えたいときには、一般的に「結論」→「理由」の順番で話すと伝わりやすいと言われています。志望動機の書き出しについても、「貴社を志望する理由は○○です」「○○に興味を抱き、貴社を志望いたしました」「○○の経験を、△△である貴社で活かしたいと考えました」といったように、最初に結論を示したうえで具体的な理由を記載しましょう。

端的に伝える

長々と書かれている文章は読みづらいばかりか、「論理的思考能力に欠けるのではないか」「文書作成力が足りないのでは」といった印象を抱かれる可能性もあります。シンプルな文章で、ポイントを端的に伝えることを心がけてください。

要素を盛り込み過ぎない

商品の魅力、社風の魅力、将来性への期待……など、複数要素を盛り込むと伝わりにくくなります。特に重視するポイントを絞りましょう。

職種別の志望動機例文

職種別に、志望動機の例文をご紹介します。採用担当者の目線を踏まえ、書き出しで意識したいポイントをお伝えします。

営業職

貴社が○○業界へのサービス提供を強化されると伺い、私の○○業界のマーケット開拓経験を活かしたいと考えました。私は○○業界を対象として、○年間の営業経験を有しています。これまでの経験を活かして事業拡大に貢献し、営業チームのマネジメント、営業戦略の企画立案も担っていきたいと考えております。

【書き出しのポイント解説】

事業に関わるキーワードとこれまでの経験を活かす意思を明示することで、採用担当者は「自社に貢献してくれる」という期待感を持って志望動機を読んでくれる可能性があります。

経理職

求人を拝見し、組織拡大中の貴社において仕組みの整備に取り組みたいと考えました。私はこれまで経理事務を務めるなかで、デジタルツールの導入など業務改善に力を入れてきました。貴社では複数事業が立ち上がり、組織の細分化・拡大が進むフェーズであるとお見受けします。これまでの経験を活かし、効率的な業務オペレーションの仕組みを作れることにやりがいを感じ、志望いたしました。

【書き出しのポイント解説】

応募企業の現状を理解し、組織の課題・ニーズを想定できていることが書き出しで伝わります。「課題を解決してくれる人物なのではないか」という印象を与える効果が期待できます。

人事職

貴社代表が掲げる「自律的な組織風土の醸成」という目標に共感し、実現に貢献したいと考えました。私は人事として○年間、採用・人材開発プログラム企画・評価制度企画などに携わってきました。社員の自律性を高めることが、イノベーション創出や組織活性化につながることを実感しています。これまでの経験を活かし、貴社が目指す人材育成と風土醸成に取り組みたいと考え、志望いたしました。

【書き出しのポイント解説】

書き出しで、経営理念やビジョンに対する共感を伝えています。近年の人事は、経営戦略と人事戦略を結びつけることが求められるようになっており、経営トップの意思を汲む姿勢はアピール効果が高いでしょう。

エンジニア職

貴社の○○プロジェクトにおいて、経験・スキルを活かすと同時に技術を磨きたいと考え、志望いたしました。現職ではグローバル企業の欧州・北米・アジア○カ国の開発拠点、○名規模のプロジェクトマネジメントを経験しており、その手法を貴社プロジェクトでも役立てると思います。また、○○資格の取得に向け勉強中で、実践によりスキルアップを図りたいと考えております。

【書き出しのポイント解説】

「経験・スキルを活かしたい」「技術を磨きたい」という漠然とした言葉ではなく、具体的なプロジェクト名を挙げることで、やりたいことや目標を明確に描けていることがアピールできます。

管理職

大手企業も多数参入している市場で、トップ3のシェアを持つ貴社の確かな戦略性や商品力に魅力を感じております。現職では主力事業の営業部隊のマネジメントに加え、新規立ち上げ部署のマネジメントも経験してきました。成長期を経て次のステージに向かう貴社の営業組織の体制再編や仕組み作りに貢献し、安定的に業績を挙げられる営業組織を構築していくスキルを磨きたいと考えております。

【書き出しのポイント解説】

視座高くマーケット全体を俯瞰しているという、マネジメント層に求められる要素が備わっていることが伝わる書き出しとなっています。中長期的・戦略的な視点をアピールできるといいでしょう。

志望動機の「書き出し」の注意点

志望動機の書き出しでは、マイナスの印象を与えてしまわないよう、下記の点に注意してください。

抽象的な表現は避ける

「貴社の事業内容(企業理念、社風など)に魅力を感じました」など、どこの企業にも当てはまるような抽象的な表現は避けましょう。「入社意欲が低いのでは」「企業研究をしていないのでは」という印象を持たれる可能性があります。ホームページや求人情報を読み込んだり転職エージェントから情報を得たりして、その企業ならではの具体的な情報を盛り込むようにするといいでしょう。

条件面のみに終始しない

「年収」「福利厚生」「勤務制度(テレワークやフレックスタイム制など)」「研修」など、条件面の魅力のみを取り上げると、「条件が変わったら辞めてしまうのでは」と懸念される可能性があります。条件だけでなく、事業や仕事に関わる内容も一緒に語るのが望ましいでしょう。

転職理由・自己PRとの一貫性を意識する

面接では、転職理由や自身の強みなども聞かれます。面接で語る内容と志望動機に一貫性がないと、「結局、自社で何がしたいのだろうか。何を目指すのだろうか」と疑念や不信感を抱かれる可能性があります。転職理由・自己PR・志望動機は整合性を意識してストーリーを組み立てるようにしましょう。

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組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。