志望動機が思いつかない時はどうする?考えるコツやネガティブな印象を与えないための注意点

履歴書を作成する際、志望動機欄に何を書いたらいいのかどうしても思いつかない時はどうしたらいいのでしょうか。志望動機が思いつかない理由、志望動機を見つける方法とネガティブな印象を与えないための注意点など、組織人事コンサルティングSeguros代表コンサルタントの粟野友樹氏にお聞きしました。

企業が志望動機を確認する理由

企業の採用担当者が志望動機を確認するのは、「求職者の入社意欲の高さを見極めたい」「企業への理解度を知りたい」ことに加えて、「自社に定着して長く働いてくれそうか」「強みを活かして活躍してくれそうか」といった可能性も判断したいという意図があります。また、応募者とのミスマッチを避けるためにも、自社の社風や応募職種の仕事内容などを十分に理解して応募しているかどうかも見ています。 

履歴書の志望動機欄はスペースが限られています。書式にもよりますが、志望動機を書ける文字数は概ね150〜200文字程度ですから、具体的な志望動機は面接で確認されることが一般的です。しかし、面接に進むためには、まず書類選考をパスしなければなりません。履歴書の志望動機欄でしっかりと入社意欲をアピールすることが、次のステップへ進むためのポイントになってきます。 

志望動機が思いつかないのはなぜ?

志望動機が思いつかない理由を分析してみましょう。

業界・企業研究が不足している

「なぜ自分はその企業に応募したいと思ったのか」冷静に考えても明確にならない場合は、その業界や企業に対しての理解や研究が十分ではない可能性があります。例えば、転職エージェントを利用している場合、思ってもいなかった業界や知らなかった企業を紹介され、深く理解できていない状態で応募しようとしているということもあるでしょう。だからといって「エージェントに紹介されたから」というのは志望動機としては好ましくありません。「自身の転職の軸とどのような点がマッチしているのか」「自分のどのような経験が活かせそうな企業・業界なのか」を転職エージェントにヒアリングしてみるのもいいでしょう。 

これまでの経験・スキルの棚卸しができていない

応募企業に対して自分はどのような貢献ができるのかが分からない場合は、自分の経験・スキルが整理できていない可能性があります。経験・スキルの棚卸しを通じて、応募企業で生かせる自分の強みやそれを裏付けるエピソードを明確にしておきましょう。 

自己分析が甘い

なんとなく経験のある業界だから、年収がいいからといった表面的な理由や情報だけで選んでしまうと説得力のある志望動機を伝えることは難しいでしょう。自己分析をしっかり行って、転職で実現したいこと、思い描いているキャリアプランなど、転職の軸を明確にしていきましょう。 

志望動機が思いつかないときにすべきこと

志望動機を構成する要素は、大きく分けて以下の3つに分けられます。

「応募企業を選んだ理由」
「活かせる経験・スキル」
「入社後に実現したいこと」

そのため、志望動機が思いつかないときは以下のようなことを行い、志望動機の源泉を見つけることから始めてみましょう。

「転職したい理由を整理する」
「なぜその企業を志望したのかあらためて考えてみる」
「これまでの経験・スキルを棚卸しする」
「転職で実現したいことを深掘りする」

また、求人情報や企業のホームページを閲覧するのみでは、業界・企業研究の不足が懸念されます。応募企業と自身のキャリアの接点を見つける作業も地道に重ねていくと良いでしょう。

志望動機を考える際の3ステップと例文 

志望動機を考える際の3つの構成要素を段階的に整理していきましょう。

1.応募企業を選んだ理由

自分が大切にしたい転職の軸(転職理由・キャリアプラン)を整理して、応募企業のビジョン・社風・仕事内容などと合致する点を抽出していきます。この時、応募企業の独自性などを志望動機として伝えられれば、好評価につながる可能性が高まります。

2.活かせる経験・スキル

企業が求めている人材や条件と、自分が培ってきた経験・スキル(強み)との合致点を見つけます。「募集要項」「仕事内容」「求める人物像」などを確認して、マッチする経験・スキル(強み)があれば、前面に押し出してアピールするといいでしょう。どうしても、企業が求める経験・スキルとの共通点が見出しにくい場合は、「仕事の進め方」「類似の経験・スキル」などに着目し、別の切り口から接点を見つけるという方法もあります。

3.入社後に実現したいこと

入社後に実現したいこと(転職理由・キャリアプラン)を整理して抽出します。ここで大切なのは、「応募企業を選んだ理由」「活かせる経験・スキル」「入社後に実現したいこと」に、一貫性を持たせること。入社後、経験・スキルを活かして何を実現したいのか、「管理部門から事業の効率化に貢献したい」など、具体的に示して意欲を伝えるようにしましょう。

志望動機の例文 

【例文1:専門職(エンジニア)】

高いプライム案件比率と深い顧客理解で業務コンサルも担う部分に魅力を感じ、貴社を志望いたしました。これまで○○業界でSEとして業務系のシステム開発、PLとして顧客折衝や提案を行なった経験があり、○○業界での業務や商習慣、安全性・確実性が強く要求される環境に理解があります。入社後はまずPMとして顧客との関係構築を図り、2〜3年後にはより上流の工程を担う業務コンサルを目指したいと考えております。

【例文2:営業マネジャー】

新規事業への果敢なチャレンジを良しとし、世代を問わず事業責任者になれる環境、別領域での子会社設立など、行動力を有する人材に広く機会が用意されている社風に魅力を感じ、貴社を志望いたしました。新規事業の経験はありませんが、複数他社との営業アライアンスの推進やリサーチ、仕組みづくりの経験はあります。知見を活かし、まずは既存の事業計画に携わり、数年後には売上○億円規模の新規事業構築を目指したいと考えています。

志望動機を伝える際にネガティブな印象を与えないための注意点

せっかく志望動機を考えたとしても、伝え方によっては採用担当者にネガティブな印象を与えてしまう可能性があるため、以下のような事項には注意しましょう。

他の企業でも当てはまるようなことを書かない

志望した理由に、他の企業でも当てはまるようなことが書かれていた場合、「自社への関心が低いのでは」「企業研究をしていないのでは」というネガティブな印象を持たれてしまう可能性があります。例えば「○○領域で年間○%成長しており、今後○年以内に業界のトップランナーとなる可能性がある」など、その企業の具体的な情報を盛り込むなどして独自性を出すといいでしょう。

仮に根拠があっても上から目線にならないようにする

自分の実績や経験・スキルを強くアピールしたいがために、「私の経験を活かせば貴社の事業成長を必ず実現できる」といった伝え方をすると、上から目線の印象を相手に印象を与えかねません。入社後にどのくらい貢献できるかは仮説でしかありません。意欲は伝えながらも断定的な言い方は避け、データなど客観的な根拠を添えて伝えるようにしましょう。

仕事内容よりも条件ありきの転職と誤解されないようにする

志望動機が年収、役職、福利厚生などの条件面だけにフォーカスしているように伝わってしまうと、他の会社でもいいのではと思われてしまいます。志望動機には「仕事内容」をメインに盛り込むと好印象につながってきます。自身のできること・やりたいことを整理し、応募企業やポジションの事業内容や仕事内容との合致点が伝わるような構成にしましょう。

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【アドバイザー】

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。