「資格なし」の履歴書の書き方|資格がなくても好印象を与えるポイントも解説

考え事をしている様子の人

履歴書には「資格」を記載する欄が設けられています。「資格を持っていない場合、どのように書けばいいのか」「そもそも資格の有無は選考に影響するのか」などの疑問を抱いている方もいるでしょう。そこで、資格がない場合の履歴書の資格欄の記載方法や、資格の代わりに「実務経験・スキル」をアピールする方法について、組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏が解説します。

履歴書の資格欄に「資格なし」と書いても問題ないか?

資格を持っていないことは、転職活動の採用選考においてそれほど大きく影響するものではないと言えるでしょう。
一般的に中途採用の選考では、資格よりも「実務経験」が重視される傾向があります。業務独占資格(※後述)など、応募職種の業務遂行に必須とされる特定の資格を除き、「資格を取得している実務未経験者」と「無資格の実務経験者」が応募してきた場合、後者が選ばれるケースは少なくありません。

資格の有無にかかわらず、履歴書や職務経歴書などの応募書類で実務経験をアピールすることが重要です。

「資格なし」の場合の履歴書の書き方

履歴書に書ける資格がない場合の記載方法をご紹介します。

「特になし」と記載する

履歴書の資格欄に記載する資格・免許がない場合は「特になし」と記載します。空欄のままにすると、採用担当者が「資格なし」なのか「記入漏れ」なのかを判断できなくなるため、必ず記載するようにしましょう。

勉強中や取得予定の資格を記載しても問題ない

履歴書作成の段階で資格を保有していなくても、「受験予定」「勉強中」である場合は、その旨を記載しても問題ありません。

記載例は、以下を参考にしましょう。

  • ○○資格(正式名称)△年△月受験予定
  • ○○資格(正式名称)取得に向けて勉強中(△年△月受験予定)

ただし、未取得の資格を記載する場合は、応募職種の業務に関連するものだけにとどめましょう。空欄を埋めようと考えて関連性がない資格を書いても、評価にはつながりにくいと言えます。職務経歴書で経験・スキルをアピールすることに注力しましょう。

履歴書の資格欄の正しい書き方【見本あり】

履歴書の「資格欄」には、仕事に関連する保有資格を記載します。資格欄の基本的な書き方をご紹介します。

資格の書き方・見本例

20XX年(※1)3月普通自動車第一種運転免許(AT限定) 取得(※2)
20XX年3月日商簿記検定2級 合格
20XX年7月2級ファイナンシャル・プランニング技能士試験(※3) 合格
20XX年10月TOEIC 700点 取得
  以上(※4)

取得年の表記を履歴書内で統一する

資格・免許を取得した年月を記載する際、「西暦」「元号」(令和・平成など)の表記は、履歴書の他の年月の記載(誕生日・学歴・職歴など)と統一します。

資格・免許は正式名称で記載する

資格・免許の名称は、略称ではなく正式名称で記載します。例えば「FP2級」であれば、「2級ファイナンシャル・プランニング技能士試験」などと正しく記載します。同ジャンルで類似の資格もあるので、採用担当者が混同しないように注意しましょう。

なお、資格取得時から名称が変更されているケースもあります。その場合は、「○○検定(現:△△検定)」といったように、現在の名称を書き添えておくといいでしょう。

書き終えたら「以上」と記載

記載すべき保有資格をすべて書き終えたら、最終行の次右端に「以上」と記載します。

資格なしでも「資格取得」が応募条件となっている企業を受けても良い?

特定の資格を取得していることを応募条件としている場合でも、資格なしで応募することは可能です。以降で詳しく解説していきます。

必須資格の場合は選考対象外になる可能性がある

応募職種において「必須資格」としている求人の場合は、入社後の業務に必須の資格であることを意味しています。資格なしで応募した場合は、選考の対象外とみなされる可能性もあるでしょう。

一方、必須ではなく「歓迎資格」としている場合は「取得している方が望ましい」とされる資格を意味しています。資格なしでも応募職種にマッチした経験・スキル・実績をアピールすることで、選考に通過するケースも少なくはないでしょう。

「入社後の資格取得も可」とするケースもある

企業によっては、入社後に業務を覚えながら資格を取得することを想定しているケースもあります。こうした場合は、求人情報に「入社後の資格取得も可」と明記されていることが多いでしょう。しかし、明記されていない場合でも、経験・スキルなどで評価された人材に対しては同様の対応をする企業もあるので、諦めずに応募してみるのも一つの方法です。

資格取得していない段階で応募する場合は、面接などで「入社後、○月までに取得を目指す」「すでに勉強中で、○月の試験を受けることを予定している」など、資格取得の計画を具体的に伝えることがポイントです。自ら学ぶ意欲があることをアピールできる上、企業側が入社後の配属先や待遇などを想定しやすくなります。

資格と同等のスキルをアピールする方法もある

求人に記載されている応募条件の資格が必須資格ではなく、歓迎資格の場合には、同等のスキルを有していることをアピールすれば、評価につながる可能性もあります。専門知識を要する実務の経験や、同等の資格を取得していることなどを伝えましょう。

その際には「○○の資格は取得しておりませんが、これまでに○○の業務を○年経験してきたため、同等以上の知識を有しているものと考えております」など、具体的なアピールをすることがポイントです。

以下に、資格と同等のスキルとしてアピールできる例をご紹介します。

<応募条件に記載されている歓迎資格に対し、アピールにつながる経験・スキルの一例>

・「簿記1級」の場合
「○年以上の経理・財務の実務を経験」

・「公認会計士」の場合
「単体・連結決算取りまとめを担当した経験○年」「M&A関連業務の経験○年」

・「不動産鑑定士」の場合
「不動産業界でのアセットマネジメント実務経験○年」「不動産証券化マスター資格取得」

・「TOEIC○点以上」の場合
「英語圏の○○大学留学経験あり」「大学院修了後、英語での実務経験○年以上」

こうしたアピールは職務経歴書に記載します。履歴書にも記載したい場合は、資格欄ではなく、自己PR欄や自由記述欄などに書きましょう。

資格がない場合に、応募書類でアピールする方法

資格がない場合、どのように応募書類でアピールをしたらいいのでしょうか。職種ごとの業務スキルをアピールする方法と、ポータブルスキルをアピールする方法をご紹介します。

職種特有の業務スキルをアピールする

資格がなくても、応募職種の業務に活かせる「スキル」をアピールすることができます。履歴書ではなく、職務経歴書の職務経歴に盛り込んだり、自己PR欄などを設けたりするなどの方法で記載しましょう。

営業職/マーケティング職/管理部門職などの場合

これまでに使用したことがあるシステム・ツールを記載しておくといいでしょう。
例えば、以下のようなものが挙げられます。

  • SFA(Sales Force Automation)ツール
  • CRM(Customer Relationship Management)ツール
  • MA(Marketing Automation)ツール
  • 会計ソフト
  • 人事労務ソフト

応募企業で使用しているツールと一致するものがあれば、スムーズに業務に入れるという点でプラス評価を得られる可能性があります。

エンジニア職の場合

使用してきたプログラミング言語、開発環境などを漏れなく記載しましょう。なお、業務での使用経験はなくても、「独自に○○言語を学び、アプリを開発」といった取り組みも評価されることがあります。

また、プロジェクトリーダーやプロジェクトマネジメントの経験については、「案件」「規模(人数・予算)」「役割範囲」「期間」などを記載しておくと伝わりやすくなります。

「ポータブルスキル」をアピールする

業務に活かせるテクニカルスキル以外に、「ポータブルスキル」をアピールするのも有効です。ポータブルスキルとは、業界・職種問わず通用する、汎用性が高いスキルを指します。例えば「論理的思考力」「コミュニケーション能力」「交渉力」「調整力」「分析力」などが挙げられます。

職務経歴書の自己PR欄に、自身の強みとなるポータブルスキルについて、ビジネスシーンで発揮したエピソードを交えて記載しておいてもいいでしょう。

これから資格取得を考える場合に意識したいポイント

今後の資格取得について検討する際、意識したいポイントをご紹介します。

応募する職種・企業で活かせる資格かどうか検討する

応募する職種や、転職先として視野に入れている企業で活かせる資格を取得することがポイントです。資格を取得する際には相応の勉強が必要になるため、限られた時間を有効に使うためにも「応募企業・職種が求めているスキルがあることを証明できる資格かどうか」を検討することが重要です。

「資格取得」を目的にせず、今後のキャリアに資格をどう活かせるか考える

「資格取得者=内定を得やすい」とは限りません。また、履歴書に多くの資格を記載したからといって必ずしも評価されるわけではありません。

多くの資格を取得していた場合、面接で「なぜそれぞれの資格を取得したのか」「仕事にどう活かしたのか」を聞かれる可能性があります。特に、自身の経歴や目指すキャリアと関連性のない資格を記載している場合は、注意が必要です。取得の目的や意義について明確に回答できなければ「キャリアの方向性が定まっていない」「キャリアの考え方に一貫性がない」などの懸念をされてしまうケースもあります。

「転職に有利な資格だから」と多くの資格を取得しても、自分が目指すキャリアにマッチしていなければ役立てられない可能性もあります。自身が目指すキャリアを見据えた上で、今後に活かせる資格を取得することが大事です。

資格が重視される職種一覧

中途採用において、資格が重視される職種・業務についてご紹介します。

「業務独占資格」を必要とする職種

その資格を保有していなければ特定の業務を行うことができない「業務独占資格」を必要とする職種です。例を挙げると、「弁護士」「司法書士」「行政書士」「税理士」「公認会計士」「社会保険労務士」「建築士」「宅地建物取引士」「不動産鑑定士」「電気工事士」「薬剤師」などがあります。
こうした職種の場合は、応募段階ですでに該当する資格を取得していることを前提とするケースが多いでしょう。

資格取得が顧客アピールにつながる職種

資格は必須とされない業務でも、保有することで顧客に安心感・信頼感を抱かれる資格もあります。例えば、金融業界や不動産業界などで資産設計・運用などのアドバイスを行うなら「ファイナンシャル・プランニング技能士(FP)」、人材サービス業界で転職相談に応じるコンサルタントであれば、「キャリアコンサルタント」などです。
こうした資格を取得することで「即戦力として活躍できる知識・スキルがある」としてプラスに評価される可能性があります。

専門知識の有無を資格で判断しやすい職種

採用選考において、「業務に必要な専門知識を体系的に理解している」と評価される資格もあります。経理職では「簿記」、法人向け営業職では「中小企業診断士」、ITエンジニアであれば「基本情報処理技術者」や各種ベンダー資格、マーケティング職では「web解析士」、経営に関わるポジションであれば「MBA」も評価されます。職種問わず「英語力」はプラス評価となるため「TOEIC」スコアも有効です。

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組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。