PCスキルをアピールしたい場合、職務経歴書にどのように記載すればいいのでしょうか。書き方の基礎知識と注意点、ツールごとの記載例について、組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏にアドバイスいただきました。ダウンロードが可能な「PCスキルシート」もご紹介します。
職務経歴書にPCスキルを書く場合の基礎知識
中途採用では、業務経験や即戦力となるスキルが重視されるため、職務経歴書が充実している場合は、あえて「PCスキル」の項目を設けて記載する必要はありません。
ただし、職務経歴が浅いのでビジネス文書の作成スキルをアピールしたい、あるいは販売・サービス職などの経験が長い人が事務系職種に就きたい、UI/UXデザイナーやマーケティング、ITエンジニアなどの職種で、経験ツールをアピールしたい…といった場合、職務経歴書でPCスキルを伝えるのも一つの手です。職務経歴書にPCスキルを記載する場合、次のようなポイントを心がけましょう。
求人を見て、企業が求めるスキルのレベル感を知る
求人の募集要項を読み、担当する業務内容からどの程度のスキルレベルを求められているかを掴みましょう。なお、募集要項に「基本的なPCスキル」とだけ記載されていることがあります。この場合の「基本的な」とは、一般的にOfficeソフトやメールの送受信、各種ITツールの基本操作ができることを指しています。
PCスキルは応募先の職種や業務内容により、「基本的」に該当するレベルは異なっています。例えば、業務内容に「顧客あるいは経営陣などへのプレゼンテーション」「データの集計・分析」といったものがあれば、中級レベル以上のPCスキルを求められる可能性があるでしょう。
客観的に判断できるレベルを記載する
「PCスキル:Word/Excel/PowerPoint」「PCスキル:業務上支障なく使用できます」といった表現では、スキルのレベルがわかりません。また、「PCスキル:初級程度」「PCスキル:上級程度」なども、何を基準として「初級」「上級」としているのか採用担当者には判断がつきません。操作レベルがイメージできるように、記載方法には工夫が必要です。
なお、客観的に判断可能な情報を伝えるという点で言えば、資格を取得するのも有効です。事務系のPCスキルの代表的な資格に「マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)」、クリエイティブ系のPCスキルの代表的な資格に「アドビ認定プロフェッショナル」があります。これらの資格を取得すればPCスキルの証明になりますし、操作方法を網羅的に理解して実務に活かすこともできるでしょう。
使用経験があるツールも記載する
会計ソフト、人事管理システム、プロジェクト管理ツール、マーケティングオートメーションツール、社内コミュニケーションツールなど、使用経験があるツールやシステムも記載しておきましょう。応募企業で使用しているものと一致していれば、操作方法を説明することなくすぐに利用できるため、安心感を持たれます。
ツール別のPCスキル記載例
Officeソフト・グラフィックソフトの操作スキルを記載する際の一例をご紹介します。
Word
- ビジネス文書作成(報告書・提案書・見積書など)
- データ・図版挿入を含む社内外文書作成
- 変更履歴・コメントを活用した原稿制作
- テンプレートの作成・管理
- 宛名リストの管理、差し込み印刷
Excel
- リストやフォーマットの作成
- フィルター、並べ替え
- SUM、AVERAGE関数を使用した計算
- IF関数を使用した条件付きの計算
- グラフの作成
- 共有や参照などを活用したブックの管理
- VLOOKUP 関数を使ったデータ検索
- ピボットテーブルの作成、管理
PowerPoint
- 社内外のプレゼン・提案資料の作成
- スライドショーの設定、実行
- アニメーションの効果設定
- テーマ・デザイン設定
- 図版や段組みを活用した販促資料作成
Access
- インポートやリンクを含めたテーブルの作成
- データベース作成とリレーションシップ設定
- レコードの更新・追加・削除
- クエリの作成と集計
- フォーム・レポートの作成
Photoshop
- 写真・グラフィックの作成・加工
- ページやバナーなどのデザイン
- イラスト・図版の作成
Illustrator
- グラフィックの作成・加工
- ロゴ・イラスト・図版などの作成
- パンフレット、ポスターなど印刷データの作成
職種別のPCスキル記入例
職種別のPCスキルの記載例をご紹介します。
事務の記入例
- Word(見積書、送付状の作成、差し込み印刷など)
- Excel(リストやフォーマットの作成/SUM関数、AVERAGE関数、VLOOKUP、ピポットテーブル、IF関数など)
- Access (各種クエリを活用したデータ集計)
経理の記入例
- 会計システム(勘定奉行、SAPなど)
- Word(経緯報告書、送付状の作成など)
- Excel(フォーマットの作成/VLOOKUP、IF関数、ピポットテーブルなど)
- PowerPoint(会議資料作成)
営業の記入例
- ツール(Slack、Salesforce)
- Excel(集計、グラフ作成)
- PowerPoint(社内外向け文書・スライドの作成/提案書、企画書など)
「PCスキルシート」を活用する方法とテンプレートダウンロード
職務経歴書にPCスキルを記載するほか、別途「PCスキルシート」を提出する方法もあります。PCスキルシートは、Officeソフトごとに操作可能な項目にチェックを入れるものです。「業務経験欄」には、どのようなシーン・目的でソフトを使用してきたかを記載します。
以下より、ExcelのPCスキルシートのダウンロードが可能です。ご自身用に書き換えて使用してください。
職務経歴書を作成する際の関連ノウハウ記事一覧
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【アドバイザー】
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。