転職活動の求人に応募する際 には、履歴書と職務経歴書の提出が求められることが一般的で、SEの場合も例外ではありません。募集しているポジションで活躍できる経験・スキルを持っていたとしても、職務経歴書でそれが正しく伝わらなければ面接へ進むことができません。そこで、SEが職務経歴書で強みを伝えるための書き方のポイントについて株式会社リクルートのキャリアアドバイザーがアドバイスします。職務経歴書を初めて作成する方には見本のテンプレートも用意していますので、ダウンロードしてご活用ください。
目次
SE(システムエンジニア)の職務経歴書のテンプレート見本【フォーマットダウンロード】
SEの職務経歴書のサンプルをご紹介します。書き方を参考にしてみてください。
リンク先よりダウンロードも可能なので、見本を参考にしながらご自身の経歴を記入し、職務経歴書を作成しましょう。
SE(システムエンジニア)の職務経歴書で企業が見ているポイント
SEの採用において企業がチェックするものには、主に「テクニカルスキル」「プロジェクトマネジメントスキル」「顧客折衝スキル」「業務知識」の4つが挙げられます。
これら4つについて、採用したい人材像とどれだけ重なるかなどの観点で採用担当者は職務経歴書を確認します。なお、4つのうちどれに比重を置いて応募者を評価するかは、企業によって異なります。
テクニカルスキル
扱ってきたOS・言語・開発環境・開発手法など。
プロジェクトマネジメントスキル
担当したプロジェクトの規模(人数・予算・期間など)およびプロジェクトマネジメントにおいて果たした役割(品質管理・コスト管理・工数管理・進捗管理など)。
顧客折衝スキル
クライアント企業のどのような層の人と対話・折衝を行ってきたか(情報システム部門の担当者・システムを使う部門の現場担当者・事業部長クラス・役員クラスなど)。
業務知識
「会計」「人事」「CRM」などのほか、製造業界・流通業界であれば「SCM」、金融業界であれば「勘定系システム」「市場系システム」「キャッシュレス決済」など、どのような業務領域を得意とするか。
SE(システムエンジニア)の職務経歴書の項目ごとの書き方
前述した職務経歴書で企業が見ているポイントを踏まえ、職務経歴書は、「職務要約」「活かせる経験・知識・技術」「職務経歴詳細」「保有資格」「自己PR」などで構成すると、自身の職務経歴や強み、先述した4つのポイントを分かりやすく伝えることができるでしょう。次の点に留意して、各項目を記載しましょう。
職務要約
職務要約とは、求職者のこれまでの職歴をまとめた「あらすじ」のようなものです。職務経歴書の冒頭に記載し、「採用担当者が、求職者の経験・スキルを一目で理解できるようにすること」を目的としています。
したがって、記載する際は、まず、これまでのキャリアの概観を記し、その上で、強みや得意とすること、長く経験していることを記していきます。3〜5行(200字)程度を目安に端的にまとめましょう。
活かせる経験・知識・技術
次の職場で発揮できる経験・知識・技術として、企業にアピールしたいものを記載します。先述した「テクニカルスキル」「プロジェクトマネジメントスキル」「顧客折衝スキル」「業務知識」に該当するものは、ここに明確に記載しましょう。箇条書きで記載すると読みやすいでしょう。
職務経歴詳細
これまで従事してきた業務を、プロジェクトや案件ごとに記載します。その際、「いつ」「どのような業種・企業向けの」「どのような案件の」「どのフェーズに」「どのような立場で」携わったのかを、プロジェクトの人数と、可能であれば金額規模といった定量情報も含めて記載しましょう。決まった書式やフォーマットはありませんが、プロジェクト内容が一目で分かる表組にできると、見やすくなります。
なお、プロジェクトの人数にBP(ビジネスパートナー)が含まれる場合、「PJ(プロジェクト)全体○名、PM(プロジェクトマネジャー)配下自社メンバー5名、BP3名」など、実態が分かるように記載すると良いでしょう。
保有資格
業務に関連する保有資格をすべて記載します。どの資格が評価・アピールにつながるかは企業によって異なりますし、自己研鑽の姿勢がうかがえれば加点評価につながる場合があるので、持っている資格はすべて記載しておきましょう。また、有効期限が過ぎてしまい失効している資格も「(失効済)」と付記して記載して問題ありません。
なお、記載順に決まりはありませんが、職務経歴詳細の記載順(編年体式または逆編年体式)に揃えた時系列で記載すると、違和感なく読んでもらえる場合が多いでしょう。
自己PR
仕事におけるこだわりやスタンスを2〜3つ記載します。具体的には、まず、仕事におけるこだわりやスタンスを端的に表現した上で、それを裏づける具体的なエピソードを記載します。具体的なエピソードを交えることで、自分にしか書けない職務経歴書になりますし、こだわりやスタンスを伝えることで人柄が垣間見え、”顔の見える(顔が浮かぶ)”職務経歴書になります。
また、締めくくりとして、自身のこだわりやスタンスを今後のキャリアや応募先企業の業務にどのような形で活かしていきたいと考えているかを付記しても良いでしょう。
SE(システムエンジニア)の職務経歴書を書く際の注意点
SEの方々が職務経歴書を書く際に注意したい点としては、主に次の7つが挙げられます。
職務要約には、キャリア全体の要約を記載する
職務要約には、初職から現在に至るまでのキャリア全体の要約を記載しましょう。キャリアが数十年あるにもかかわらず「直近5年は◯◯に携わってきました。その中で△△を強みとして発揮してきました」などと、直近数年分しか記載していないケースが見られます。採用担当者も職務要約から応募者の経歴の全体像を把握することが多いので、キャリアの一部ではなく全体の要約を記載しましょう。
「経験したプロジェクト」を省略しない
職務経歴詳細を作成する際、経験したプロジェクトの一部のみをピックアップして記載するケースが見られます。しかし、基本的に経験したプロジェクトは省略せず、すべて記載しましょう。
「時期」「対象業界」「案件内容」「担当フェーズ」「立場」を漏れなく記載する
「いつ」「どのような業種・企業向けの」「どのような案件の」「どのフェーズに」「どのような立場で」携わったかは、漏れなく記載しましょう。いずれかが抜けているケースが見られますが、漏れなく記載することで、採用担当者はどのようなクライアント・案件・フェーズの知見に明るい人物かを判断できるでしょう。
なお、担当フェーズは、「要件定義~運用」と省略するのではなく、「要件定義/基本設計/詳細設計/開発/テスト/運用」などと、一つずつ記載しましょう。
「案件内容」は詳細に記載する。簡略化しすぎない
どのような案件に携わったのかを記載する際、例えば「顧客管理システム」「SCMシステム」などと記載するのではなく、顧客管理システムなら「営業支援のための既存顧客管理システム」、SCMシステムなら「化粧品原料の在庫管理システム」など、具体的に記載しましょう。詳細に記載しなければ、企業は、求職者がどのようなクライアントやシステムの知見に明るいのかを読み取りにくくなり、活躍可能性を測りづらくなります。
「自己研鑽」の活動はプラス評価につながる
職務経歴書には「実務経験」しか書いてはいけないわけではありません。以下に挙げた「自己研鑽」につながる活動はプラス評価につながる可能性があるため、「自己PR」欄に記載しましょう。
- 独自に学んでいること(言語・開発環境・開発手法など)
- 資格取得に向けた勉強
- プライベートでのアプリ開発・リリース
- Kaggleなどのコンペへの参加
- 技術に関するブログの執筆・SNSでの情報発信
「成果」「貢献」を伝える
SEは、営業職の「売上高」「顧客獲得数」のように実績を数値で示すのは難しいケースが多いと言えます。そのため、必ずしも実績の数値を記載する必要はありません。しかし、業務アプリケーションを手がけている方などは、システム導入によって何らかの業務改善効果が数値で表れているのであれば、記載しておくと良いでしょう。例えば、「10人のスタッフで行っていた業務を3人でできるように改善」「○○のコストを○%削減」などです。
実績を数値化できなくても、自身が主体的に提案したことがプロジェクト化されたり、システムに反映されたりと、成果・貢献につながったことがあれば、「自己PR」欄に記載しておくと良いでしょう。
ニーズが高い経験は詳細を記載してアピールする
SEの採用においては、新しい技術・開発環境・開発手法の経験者のニーズが高まっています。
以下のキーワードに関わる経験・スキルが少しでもあれば記載しておくことでアピール効果が高まります。実務においてこれらの経験がないとしても、独自に学習して習得しているのであれば、記載しておきましょう。
- データ分析関連、「Python」「R」など
- クラウド環境での開発(Amazon Web Services(AWS)/Google Cloud Platform/Microsoft Azureなど)
- アジャイル開発
- セキュリティ
- DevOps
- Docker
- Kubernetes
職務経歴書の書き方の基本
最後に、一般的に言われている職務経歴書の書き方の基本を確認しておきましょう。職務経歴書でまず大切なのは、「読みやすさ」と「わかりやすさ」です。そのために、次のようなポイントを押さえて書類を仕上げましょう。
事前に職務経歴を整理し、アピールしたい経験を強調する
職務経歴書を作成するにあたっては、まず、これまでの「所属企業・部署・チーム」「担当プロジェクト」「手がけた業務」「成果」「身に付けたスキル」などをすべて書き出します。
ただし、職務経験・実績が多い方ほど、そのまま羅列するだけではアピールしたい経験・スキルや得意分野が採用担当者に伝わりにくくなります。職務経歴書に落とし込む際にはメリハリをつけて記載するようにしましょう。
読みやすいレイアウトを心掛ける
職務経験が多い、かつ、過去に所属していた企業の事業内容や担当業務内容が直近の仕事と大きく異なる場合などは、直近の仕事内容から書き始め、時系列をさかのぼって職歴を記載する「逆編年体形式」のレイアウトにすると読み手に伝わりやすくなるでしょう。
また、レイアウトには統一感を持たせましょう。「年・月」「企業名」「部署名」などを記載する位置、各項目の見出し、本文の頭出し位置などを揃えておきます。フォントもすべて統一しましょう。書き方見本が記入されているフォーマットをダウンロードして使う場合、見本の文言を流用する部分と自身で入力する部分とでフォントが異なってしまうことがあるため、注意が必要です。
文章だけでなく箇条書きも活用する
文章だけがつらつらと綴られた文書は、見た瞬間に「読むのが面倒」という印象を抱かれるものです。適度に「箇条書き」を活用することでリズムが生まれ、読みやすくなって採用担当者の負担感が軽減されます。
冒頭に「●」「・」をつけたり、項目を【 】で立てたりして、記載情報を整理しましょう。
職務経歴書を作成する際の関連ノウハウ記事一覧
職務経歴書の基本の書き方 (3種類テンプレート付) | 職務要約の書き方 | 職務内容の書き方 |
活かせる経験・知識・技術の書き方 | 資格の書き方 | 自己PRの書き方 |
志望動機の書き方 | 退職理由の書き方 | 役職の書き方 |
履歴書と職務経歴書の違い | 封筒の書き方 | 送付状(添え状)の書き方 |
複数社の経験がある場合の書き方 | 転職回数が多い場合の書き方 | PCスキルの書き方 |
職務経歴書のサイズと枚数 | フォントの選び方 | 用紙の種類 |
橋本拓弥
大学院卒業後、専門商社に入社。化粧品原料の法人営業・輸出入に携わった後、株式会社リクルートに中途入社。ハイキャリア部門の管理部門領域のキャリアアドバイザーを担当後、一貫してハイキャリア部門のITエンジニア領域のキャリアアドバイザーとしてキャリア支援に従事。
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