求人に応募する際には、履歴書とともに職務経歴書の提出が求められます。募集しているポジションで活躍できる経験・スキルを持っていたとしても、職務経歴書で正しく伝わらなければ面接へ進むことができません。そこで、職務経歴書で強みを伝えるための書き方のポイントについて、組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏がアドバイスいたします。職務経歴書を初めて作成する方には見本のテンプレートも用意していますので、ダウンロードしてご活用ください。
営業の職務経歴書のテンプレート見本【フォーマットダウンロード】
営業の職務経歴書のサンプルをご紹介します。書き方を参考にしてみてください。
リンク先よりダウンロードも可能なので、見本を参考にしながらご自身の経歴を記入し、職務経歴書を作成しましょう。
法人向け職務経歴書見本
個人向け職務経歴書見本
営業の職務経歴書の書き方のポイント
営業の方々が職務経歴を記載する際、意識しておきたいポイント、積極的にアピールしたい経験・スキルなどをお伝えします。
「対象顧客」と「営業スタイル」を明確に
採用担当者は、自社の採用ポジションとのマッチングを図るため、「対象顧客」と「営業スタイル」を確認します。業界や取り扱う商品が異なっていても、「対象顧客」「営業スタイル」が共通すれば即戦力として評価されることもあるので、詳細を記載しましょう。
<対象顧客>
法人営業の場合/業種・規模・部門・職種・ポジション(経営層か担当者か)など 個人営業の場合/年齢層・性別・職業・属性(学生/主婦/会社員/経営者など)・年収帯など
<営業スタイル>
・新規開拓/既存顧客のフォロー(両方であればその割合を明記) ・個人で活動/チームで活動 ・顧客へ直接販売/代理店を通じて販売 ・短期/長期 ・訪問型/来店型/オンライン ・見込み客へこちらからアプローチ/広告などへの反響に対応/紹介
コロナ禍以降は「オンライン商談」も拡大しています。オンライン商談用のプレゼンテーション資料・動画などのツール制作、オンラインでのコミュニケーションや提案の経験・スキルはプラス評価につながります。
なお、異業界の企業に応募した場合、採用担当者は商品・サービスをイメージできない可能性があります。そのため、商品・サービスの概要やターゲット、価格帯、商流などを補足しておくと伝わりやすくなります。
「実績」は数値で客観的に判断できるように
実績は具体的な数字で伝えましょう。「売上○○万円」「新規開拓件数:○社」など、具体的な数字を用いて表現すると、規模感をつかみやすくなります。
また、記載されている実績数字にどれほどの価値があるのかが伝わるように、指標を示すことも重要です。例えば、「売上30%アップ」と書くだけでは、何に対して30%アップしたのかが分かりません。会社全体の業績が良かったというケースも考えられます。そこで、「前年比」「○名中○位」などの表現を加えることで、採用担当者は客観的に実績を判断・評価することができるでしょう。
行動プロセスをアピールする
成果・実績を記載するだけでなく、どのような戦略を立て、どのように行動してその成果に至ったのか、活動プロセスや努力・工夫したポイントを「自己PR」欄などで伝えることが重要です。なお、ロジカルな活動でPDCAを回して成果を挙げた経験は高く評価されます。
「連携」「チームワーク」をアピールする
営業は他者を巻き込む力も重視されます。社内の他部署や社外の専門家・パートナー企業とネットワークを築き、案件の紹介を受けたり顧客の課題解決に協力を得たりと、周囲と連携する力を発揮した経験を伝えれば、高評価につながるでしょう。
「専門知識」をアピールする
専門知識や資格を取得している場合、それを活用した顧客への提案、プラスアルファの価値を提供した経験をアピールしましょう。例えば、法人営業であれば「MBAや中小企業診断士の資格を活かし、経営状態を分析・アドバイス」、個人営業であれば「税務やファイナンシャルプランニングの知識を活かし、富裕層の顧客に節税や資産運用をアドバイス」などが挙げられます。
マネジメント経験も明記する
ハイキャリア層の採用となると、チームリーダーやマネジメントの経験も注目されるポイントになります。マネジメント経験は、必ず記載してください。
なお、マネジメントクラスの採用では、「プレイングマネジャー」を求めるケースも多数あります。部下の指導・マネジメントと同時に、自身の営業活動の内容についてもわかるように記載するといいでしょう。
職務経歴書の書き方のコツ
職務経歴書で大切なのは、まず「読みやすさ」「わかりやすさ」です。
また、経験豊富であるほど職務経歴の記載が多くなり、強みがどこにあるのかが伝わりにくいことがあります。
作成する際には以下のポイントを踏まえ、よりアピール効果が高い職務経歴書に仕上げましょう。
事前に職務経歴を整理し、アピールしたい経験を強調する
職務経歴書を作成するにあたっては、まず、これまでの「所属企業・部署・チーム」「手がけた業務」「成果」「身に付けたスキル」などをすべて書き出します。
ただし、職務経験・実績が多い方ほど、そのまま羅列するだけではアピールしたい経験・スキルや得意分野が採用担当者に伝わりにくくなります。
そこで、職務経歴書に落とし込む際にはメリハリをつけて記載するようにしましょう。
アピールしたい経験や強みについては、「成果」をはじめ、「成果に至るまでのプロセスや独自の工夫」などまで簡潔に記しておくと、読み手が「入社後の活躍イメージ」を描きやすくなります。
特にアピールしたいポイントは、冒頭に100文字程度の「職務要約」を記載しておくといいでしょう。
一方、これから目指すポジションと関連が薄い経験・スキルについては、簡潔な記載にとどめます。
読みやすいレイアウトを心掛ける
職務経験が多い、かつ過去に所属していた企業の事業内容や担当業務内容が直近の仕事と大きく異なる場合などは、直近の仕事内容から書き始め、時系列をさかのぼって職歴を記載する「逆編年体形式」のレイアウトにすると読み手に伝わりやすくなります。
また、レイアウトには統一感を持たせましょう。「年・月」「企業名」「部署名」などを記載する位置、各項目の見出し、本文の頭出し位置などを揃えておきます。フォントもすべて統一しましょう。
書き方見本が記入されているフォーマットをダウンロードして使う場合、見本の文言を流用する部分と自身で入力する部分とでフォントが異なってしまうことがあるため、注意が必要です。
文章だけでなく箇条書きも活用する
文章だけがつらつらと綴られた文書は、見た瞬間に「読むのが面倒」という印象を抱かれるものです。適度に「箇条書き」を活用することでリズムが生まれ、読みやすくなって採用担当者の負担感が軽減されます。
冒頭に「●」「・」をつけたり、項目を【 】で立てたりして、記載情報を整理しましょう。
例えば、次のような項目の記載には、箇条書きを使うとわかりやすくなります。
・業務内容が伝わる数字(担当顧客数/マネジメント対象メンバー数/プロジェクトの規模・期間など)
・業務で活用した技術、ツールなど
・成果が伝わる数字(売上実績/目標達成率など)
・課題とそれに対する戦略、独自に工夫したことなど
職務経歴書を作成する際の関連ノウハウ記事一覧
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粟野友樹(あわのともき)
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。
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