求人に応募する際には、履歴書とともに職務経歴書の提出が求められるでしょう。募集しているポジションで活躍できる経験・スキルを持っていたとしても、職務経歴書でそれが正しく伝わらなければ面接へ進むことができません。
そこで、職務経歴書で強みを伝えるための書き方のポイントについて、リクルートエージェントのキャリアアドバイザーがアドバイスします。見本のテンプレートも用意しましたので、ダウンロードしてご活用ください。
目次
内部統制/内部監査の職務経歴書のテンプレート見本【フォーマットダウンロード】
内部統制/内部監査の職務経歴書のサンプルを紹介します。書き方を参考にしてみてください。
リンク先よりダウンロードも可能ですので、見本を参考にしながらご自身の経歴を記入し、職務経歴書を作成しましょう。
内部統制/内部監査の職務経歴書の書き方のポイント
内部統制/内部監査の方々が職務経歴を記載する際、意識しておきたいポイント、積極的にアピールしたい経験・スキルなどを伝えます。
「対象」「テーマ」「規模」「フェーズ」などを明記する
これまで手がけてきた内部統制/内部監査業務について、次の項目が明確に伝わるように記載しましょう。
- 企業の事業内容(ビジネスモデル)
- 監査対象部門(部署・子会社・海外拠点(国/地域))
- 企業フェーズ(上場企業/上場準備中など)
- 組織規模(組織数/拠点数/従業員数など)
- テーマ(営業/経理/情報システム/働き方改革など)
- チーム内での役割(メンバー/リーダー)
「内部統制」「内部監査」「リスク管理」などの業務は、所属企業によって組織が分かれていることもあれば統合されていることもあります。自身が携わった範囲を明確に示しましょう。
また、M&Aなどによって「対象組織・エリアが増えた」など、前年踏襲ではなく新たな監査体制の整備・構築に携わった経験があれば、記載しておくとプラス評価につながる可能性があるでしょう。
手がけた「水準」を示す
内部統制/内部監査には、一般的に複数の段階があります。例えば、 J-SOX対応、IFRS(国際会計基準)対応経験、内部統制評価経験など、自身がどの水準まで手がけてきたかを明確に示すことが重要です。
金融庁が4段階に分類する内部監査の水準(※)を目安にするという方法もあります。
(※)出典:金融庁「『金融機関の内部監査の高度化』に向けたプログレスレポート(中間報告)の公表について」https://www.fsa.go.jp/news/r5/ginkou/20231024/20231024.html
<第1段階>事務不備監査
事務不備、規程違反等の発見を通じた各部門への牽制機能の発揮
<第2段階>リスクベース監査
リスクアセスメントに基づき、高リスク領域の業務プロセスに対する問題を提起
<第3段階>経営監査
内外の環境変化等に対応した経営に資する保証を提供
<第4段階>信頼されるアドバイザー
保証やそれに伴う課題解決にとどまらず、経営陣をはじめとする組織内の役職員に対し、経営戦略に資する助言を提供
なお、内部監査人協会(IIA)で定義される「アシュアランス業務」「コンサルティング業務」について、自身がどちらの業務をどの程度手がけてきたかが伝わるように記載しましょう。「チェック」「評価」にとどまらず、評価を踏まえた経営への提言や企画業務の経験がある場合は、それを伝えることで評価アップにつながる可能性があるでしょう。
「成果」「実績」も伝える
携わってきた業務について、「課題」と「成果」も、簡潔に記載しておくといいでしょう。「対象組織・エリアの拡大」「効率化(工数削減など)」など、数字で成果を示せるものがあれば、数値も記載すると説得力が高まります。面接で聞かれた場合に備え、具体的なプロセスを語れるように準備しておきましょう。
資格や語学力もアピールする
公認会計士、米国公認会計士、公認内部監査人(CIA)などの専門資格や語学力もあれば記載するとよいでしょう。職務経歴書に「資格・スキル」の項目を追加しアピールしましょう。
自己PRでは「マインド」「スタンス」を伝える
内部統制/内部監査ポジションの採用選考では、知識と能力に加え、「人柄」も知りたいという傾向があります。特に、「誠実さ」や、マネジメント層・経営層との「コミュニケーション力」も重視されると考えられます。どのようなマインドやスタンスを持って業務にあたってきたのかを伝えるといいでしょう。
職務経歴書の書き方のコツ
職務経歴書で大切なのは、まず「読みやすさ」「わかりやすさ」です。
また、経験豊富であるほど職務経歴の記載が多くなり、強みがどこにあるのかが伝わりにくいことがあります。
作成する際には以下のポイントを踏まえ、よりアピール効果が高い職務経歴書に仕上げましょう。
事前に職務経歴を整理し、アピールしたい経験を強調する
職務経歴書を作成するにあたっては、まず、これまでの「所属企業・部署・チーム」「手がけた業務」「成果」「身に付けたスキル」などをすべて書き出します。
ただし、職務経験・実績が多い方ほど、そのまま羅列するだけではアピールしたい経験・スキルや得意分野が採用担当者に伝わりにくくなりかねません。
そこで、職務経歴書に記載する際にはメリハリを付けて記載するようにしましょう。
アピールしたい経験や強みについては、「成果」をはじめ、「成果に至るまでのプロセスや独自の工夫」などまで簡潔に記しておくと、読み手が「入社後の活躍イメージ」を描きやすくなります。特にアピールしたいポイントは、冒頭に100文字程度の「職務要約」を記載しておくといいでしょう。一方、これから目指すポジションと関連が薄い経験・スキルについては、簡潔な記載にとどめてもよいでしょう。
読みやすいレイアウトを心掛ける
職務経験が多い、かつ過去に所属していた企業の事業内容や担当業務内容が直近の仕事と大きく異なる場合などは、直近の仕事内容から書き始め、時系列をさかのぼって職歴を記載する「逆編年体形式」のレイアウトにすると読み手に伝わりやすくなります。
また、レイアウトには統一感を持たせましょう。「年・月」「企業名」「部署名」などを記載する位置、各項目の見出し、本文の頭出し位置などを揃えておきます。フォントもすべて統一しましょう。
書き方見本が記入されているフォーマットをダウンロードして使う場合、見本の文言を流用する部分と自身で入力する部分とでフォントが異なることがあるため、注意が必要です。
文章だけでなく箇条書きも活用する
文章だけがつらつらと綴られた文書は、見た瞬間に「読むのが面倒」という印象を抱かれるものです。適度に「箇条書き」を活用することでリズムが生まれ、読みやすくなって採用担当者の負担感が軽減されます。
冒頭に「●」「・」を付けたり、項目を【 】で立てたりして、記載情報を整理しましょう。
例えば、次のような項目の記載には、箇条書きを使うとわかりやすくなります。
- 業務内容が伝わる数字(担当顧客数/マネジメント対象メンバー数/プロジェクトの規模・期間など)
- 業務で活用した技術、ツールなど
- 成果が伝わる数字(売上実績/目標達成率など)
- 課題とそれに対する戦略、独自に工夫したことなど
内部統制/内部監査はスカウトサービスの活用も有効
近年、コンプライアンスやガバナンス強化への取り組みが加速しています。J-SOX(内部統制報告制度)改訂、ITの進展、グローバル化なども背景に、内部統制/内部監査の重要性が増しており、人材ニーズも高まっていると考えられます。
採用を急ぐ企業では、スカウトサービスを活用し、求める経験・スキルを持つ人に直接アプローチを図ることもあります。内部統制として転職を目指すなら、スカウトサービスに登録しておくことで、自身が強みとする経験・スキルが活かせる企業と出会いやすくなる可能性があるでしょう。
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鈴木暁敦
総合人材サービス会社にて、事務系派遣サービスの営業や業務委託プロジェクトマネージャーとして就業後、2014年に大手人材紹介会社に転職し、管理部門専任のコンサルタントとして、キャリア支援及び法人担当を一気通貫で従事。2019年に株式会社リクルートキャリア(現株式会社リクルート)に転職後は、ハイキャリア部門にて経理・財務・内部監査/統制・IRなどのファイナンス領域のキャリア支援及び法人担当として就業中。
※本記事での内容は取材時点での情報になります。