内部統制の志望動機の書き方と注意点【例文付き】

内部統制 志望動機

転職活動で内部統制のポジションに応募する際には、どのような志望動機を書けば書類選考の通過率が高まるのでしょうか。内部統制の志望動機の書き方のポイントについて、リクルートエージェントのキャリアアドバイザーが解説します。経験者・未経験者の例文も紹介しますので、参考にしてください。内部統制の求人動向、求められるスキル・経験についてもお伝えします。

内部統制の仕事内容

金融庁は、内部統制の定義において以下の4つを目的として掲げています。

  1. 業務の有効性及び効率性
  2. 財務報告の信頼性
  3. 事業活動に関わる法令等の遵守
  4. 資産の保全

そして、この4つの目的の達成のために必要な基本要素が6つ挙げられています。

  1. 統制環境
  2. リスクの評価と対応
  3. 統制活動
  4. 情報と伝達
  5. モニタリング(監視活動)
  6. IT(情報技術)への対応

※出典:金融庁「内部統制の基本的枠組み」
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kigyou/siryou/naibu/20061106/01-01.pdf

これらの計画を策定し、整備・運用するのが内部統制部門です。なお、内部統制が機能しているかどうかをチェックするのが「内部監査」です。

ただし、組織体や役割は企業によって異なり、「内部統制」「内部監査」「リスク管理」などの部門が分かれていることもあれば、統合されていることもあります。

内部統制の求人動向

内部統制は、業種・規模問わず、多様な企業が採用に取り組んでいるように見受けられます。
その背景には、コンプライアンスやガバナンスへの意識の高まりがあると考えられるでしょう。近年、不正の発覚により企業イメージが損なわれる事例が相次いでいます。SNSの普及によってネガティブな情報が拡散されやすくなったからこそ、リスク管理が急務となっているのでしょう。

また、J-SOX(内部統制報告制度)改訂、ITの進展、グローバル展開の活発化などにより、内部統制が必要な対象が拡大しているという背景もあります。SDGsへの取り組みにおいても、海外投資家の目が非常にシビアになっています。このように、企業が直面する課題がより広範囲になっていることから、内部統制の業務も増加し、人材ニーズが高まっていると考えられます。

内部統制に求められるスキル、経験

内部統制の採用において、求められる代表的な要素を紹介します。

対象業務に関する知識

内部統制の対象となるのは、社内のすべての部門です。そのため、対象部門の業務内容や、会計、法令、コンプライアンス、システムなどの知識が必要です。もちろん、1人ですべての知識を兼ね備えている必要がない場合もあり、何らかの領域に強みを持っていれば採用の可能性があるでしょう。

なお、内部統制・内部監査の経験は必須ではない企業もあります。経理・財務部、法務部、情報システム部門などでの、「監査を受けてきた立場」の経験が活かせるケースもあります。

未経験で転職する場合は、公認内部監査人(CIA)などの資格を取得することで、内部監査の基本知識を体系的に習得していると評価される可能性があるでしょう。

問題点の発見・分析力

前述の通り内部統制とは、業務の有効性や財務報告の信頼性、法令などの遵守や資産保全が達成されないリスクを抑える役割を担います。そのために、業務や報告書などの問題点を発見し、分析する力を求めていると考えられます。内部統制/内部監査の経験がなくても、これまでの仕事で課題を発見・分析し、改善提案まで行った経験があればプラス評価につながる可能性があります。

多様な立場の人とのコミュニケーション力/誠実さ

内部統制対象となるさまざまな部門のマネジャークラス、あるいは経営陣と対等に渡り合えるコミュニケーション力が欠かせません。相手の立場に立ち、誠実さを持って対応しながらも、迎合し過ぎずに言うべきことは言うバランス感覚が求められるでしょう。

内部統制の志望動機を書く時のポイント

書類選考で注目されるポイントの一つとして挙げられるのは、「自社が任せたい仕事ができるのか・できる可能性があるのか」です。

したがって、志望動機を書く際も、応募企業が求める経験・スキルをつかんだ上で、自身の経験・スキルがマッチすることを伝えましょう。対象領域の知識のほか、対象組織の規模や成長フェーズなどが一致していると、「経験が活かせる」という志望動機の説得力が高まります。

また「コンサルティング型」の業務を志向する場合は、「なぜ志向するのか」も伝えましょう。内部統制に求められる「守りを固める役割」だけでなく、「会社の成長に寄与したい」という意識が高い人が歓迎されることもあります。志望動機で意欲を伝えるといいでしょう。

志望動機の基本構成

履歴書や職務経歴書で志望動機を伝える際には、次のような構成で記載すると採用担当者の納得を得やすくなります。

書き出し

応募企業に魅力を感じているポイントを簡潔に記しましょう。いきなりエピソードから書き始めると、文章に締まりがない印象を与えかねません。

応募企業を選んだ理由

応募企業を選んだ理由を伝えます。これまでの経験も踏まえつつ、「抱いている課題意識」「自身が仕事で大切にしたいこと・こだわりたいこと」などを挙げた上で、応募企業であればそれを実現できると考えていることを記載するといいでしょう。

活かせる経験・スキル

自身の経験・スキルが、応募企業でどのように活かせるかを伝えます。これまで培ってきた経験・スキルと、応募企業で求められている要素との共通点を見つけ出して意識的に盛り込むと効果的です。求人情報を確認し、マッチする経験・スキルがあれば、前面に押し出してアピールしましょう。

なお、企業が求めている経験・スキルとの共通点が見出しにくい場合には、「仕事の進め方」「企業理念」などに着目し、別の切り口から接点を見つける方法もあります。

入社後に実現したいこと

最後は応募企業で働く意欲が伝わるような言葉で締めくくりましょう。入社後にどのような活躍・貢献がしたいかという意思表示をすることで、採用担当者の期待が高まります。

内部統制の志望動機例文を紹介

内部統制の志望動機例文を、経験者、未経験者に分けて紹介します。

「経験者」の志望動機例文

私は、主に○○監査を得意領域としており、IPOに向けての体制整備を手がけてきました。ただ問題点を指摘するだけでなく、企業の成長を支えることにやりがいを感じています。現在、事業・組織の拡大フェーズにあり、IPOを目指している貴社において、私の経験・スキルを活かしてIPO実現と中長期での成長に貢献したいと考え、志望いたしました。

<ポイント> 

現職への不満から転職を考える人も少なくありませんが、志望動機は「この会社で不満を解消できる」というよりも「この会社でこれをやりたい」という前向きな思いを伝えましょう。また、経験者の場合、「やりたい」「興味がある」という気持ちだけでなく、「自身の経験を活かして貢献できる」ことを伝えることが重要です。

「未経験者」の志望動機例文

私は経理財務部門で○年経験を積み、財務・会計に関する知識を有しています。内部監査を受ける立場から、信頼性・透明性を高めることの重要性を実感し、内部統制の役割を担いたいと考えました。CIA(公認内部監査人)の勉強も始めています。貴社が注力する○○の取り組みに共感しており、財務・会計知識及び多様な部署との円滑なコミュニケーション力を活かし、成長に貢献したいと考えております。

<ポイント>
未経験者の場合は、「なぜ目指したのか」を伝えましょう。面接の場では、具体的なエピソードを語れるように準備しておきます。また、これまでの業務経験で活かせるポイント、成長意欲などもアピールするといいでしょう。

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アドバイザー

鈴木暁敦

総合人材サービス会社にて、事務系派遣サービスの営業や業務委託プロジェクトマネージャーとして就業後、2014年に大手人材紹介会社に転職し、管理部門専任のコンサルタントとして、キャリア支援及び法人担当を一気通貫で従事。2019年に株式会社リクルートキャリア(現株式会社リクルート)に転職後は、ハイキャリア部門にて経理・財務・内部監査/統制・IRなどのファイナンス領域のキャリア支援及び法人担当として就業中。

※本記事での内容は取材時点での情報になります。