【例文あり】知財(知的財産)部門の志望動機の書き方とは?押さえておきたいポイントと求人動向も紹介

知財 志望動機

企業の知財部門への応募書類に志望動機の記載を求められた場合、どのように書くとアピールにつながるでしょうか。リクルートエージェントのキャリアアドバイザーが、志望動機の書き方のポイントを解説します。志望動機の例文や、知財の採用トレンド、求められる経験・スキルなども併せてご紹介します。

知財(知的財産)部門の仕事内容

企業の知財部門の仕事は、大きく次の6つとされています。

  1. 特許関連業務:特許出願、特許調査、特許戦略の立案、特許侵害対応
  2. 商標・意匠関連業務:商標登録、意匠登録、ブランド保護
  3. ライセンス・契約関連業務:ライセンス契約の作成、交渉、管理
  4. 知財紛争対応:訴訟対応、調停、仲裁
  5. 知財教育・啓発:社内教育、知財意識の向上
  6. 知財戦略立案:知財ポートフォリオの構築、知財に基づく事業戦略の策定

経験者を想定とした中途採用においては、これらのうち、応募者が1、2の経験を持っていることを前提に、「どの分野・領域の技術的な知識を持っているか(募集企業が扱う技術に関する知識があるか)」「3〜6のうち、募集企業が求める経験・スキルがあるか」などの観点でマッチングがなされる傾向にあります。

知財部門の採用トレンドと求められる経験・スキル

知財部門の近年の採用ニーズや、求められる経験・スキルには、次のものが一例として挙げられます。

採用ニーズと転職トレンド

知財関連の人材の流動性は他の職種に比べると低く、求人数も求職者数も少ない傾向にあるのが現状です。その中で、近年、ニーズが増加傾向にあるのが、国際特許等グローバルな案件に対応できる人材やデジタル技術に関する知財対応ができる人材、特定分野の高度な知識・経験を持つ人材などです。

グローバルな案件に対応できる人材

企業各社の海外展開が加速する中、知財業務におけるグローバル対応は各社の課題であり、展開先の国への特許出願を担える人材や、国内のみならず世界横断的に知財戦略を練ることができる人材へのニーズが高まっている傾向にあります。ただ、これらの経験が豊富な人材はまだそれほど多くないため、国内の知財対応の経験があり、かつ、語学力のある人にもチャンスがある状況です。

デジタル技術に関する知財対応ができる人材

各社の事業において、AIやIoTを始めとしたデジタル分野の新技術の重要性が高まり続けていることに伴い、これらの技術に知財面で対応できる人材のニーズが少しずつ高まってきています。この分野の知財対応に長けた人材もまだ多くはない状況ですが、必要とする企業は今後増えていく可能性が高いと思われます。

特定分野の高度な知識・経験を持つ人材

各分野において技術の高度化が進んでおり、知財担当者に求められる専門性も高度化しています。特に顕著なのは、創薬を始めとしたバイオテクノロジー分野や、システム・ソフトウェア分野です。例えば、前者においては、これまでとは異なる新たな構造式の化合物を用いた新薬の特許出願などに、後者においては、上述したようなAIやIoT技術を用いた新しいソフトウェアの特許出願などに対応できる人材へのニーズが高まってきています。

求められる経験・スキル

企業が知財部門への転職希望者に対して基本的なスキル・経験として求めるのは、特許や商標、意匠の出願・管理経験、そして、応募企業とその業界の関連技術に関する知識などが一例として挙げられます。

加えて、企業の募集内容・ポジションによって求められるケースがあるのが、ライセンス契約や交渉の実務経験、知財戦略の立案・実行経験、訴訟や紛争対応の実績、語学力(特に英語の読み書きと海外アライアンス等の契約交渉)などです。必須の経験・スキルとされていない場合でも、これらの経験・スキルがあれば企業によってはプラスの評価になる場合があります。

なお、特許事務所からの転職希望者に対しても、企業が求める経験・スキルは同様です。加えて、事業会社の知財担当は、社内の関係部署との折衝・調整が欠かせないため、そこに対応できるかどうかも選考で見られるポイントの一つです。

知財経験者が志望動機を書く際のポイント

知財部門の募集を行う企業は、自社および業界が扱う技術に関する知識・経験があるか、また、自社の知財組織に求める役割に合った人材かなどに着目して選考を行う傾向にあります。後者については、例えば「知財戦略・管理の観点から新規事業や新規プロダクトの創出に関わってほしい」「他社に知財権を侵害されない動きをしてほしい」など、企業によって知財組織に求める役割は異なります。その方針と自分が志向する知財担当としての働き方や企業への貢献の仕方がマッチするかどうかは、募集情報などをよく見て判断しましょう。

その上で、志望動機には、応募企業の知財戦略やビジョンに共感する理由や、自身の経験やスキルが応募企業の知財業務にどのように貢献できるか、また、特定のプロジェクトや業績を通じて得た自身の知見は応募企業に対してどのような価値を提供するのかなどを記載するとよいでしょう。

また、特許事務所経験者の場合であっても、企業が注目するのは「自社や業界が扱う技術領域の知識・経験があるか」です。企業が求める専門領域に自身の知識・経験が合致することが伝わるよう、志望動機や応募書類を作成するようにしましょう。

志望動機の基本構成

実際に履歴書や職務経歴書で志望動機を伝える際には、次のような構成で記載すると採用担当者の納得を得やすくなります。

書き出し

応募企業に魅力を感じているポイントを簡潔に記しましょう。

応募企業を選んだ理由

応募企業を選んだ理由を伝えます。これまでの経験も踏まえつつ、「抱いている課題意識」「自身が仕事で大切にしたいこと・こだわりたいこと」などを挙げた上で、応募企業であればそれを実現できると考えていることを記載します。

活かせる経験・スキル

自身の経験・スキルが、応募企業でどのように活かせるかを伝えます。そのためには、これまで培ってきた経験・スキルと、応募企業で求められている要素との共通点を見つけ出すことが大切です。求人情報を確認し、マッチする経験・スキルをアピールしましょう。

入社後に実現したいこと

最後は応募企業で働く意欲が伝わるような言葉で締めくくります。入社後にどのような活躍・貢献がしたいかという意思表示をすることで、採用担当者の期待が高まるでしょう。

知財部門の志望動機の例文

上述したポイントを踏まえて、知財部門への志望動機例文を紹介します。

施設・設備管理ソリューション事業においてIoT、AI等を用いた開発を強化する方針を敷く貴社において、自身のIoT、AI分野の特許出願経験等を活かして貢献したいと考え、志望しました。現職においてIoT、AI技術に関連する特許出願を〇年間で〇件行ってきました。また、直近3年間は、知財ポートフォリオの構築も担当しております。これらの経験を活かし、貴社の技術開発、そして開発した技術の権利化と事業成長に貢献したいと考えております。

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アドバイザー

新子祐太

複数社で人事担当者として幅広い業務に関わり、1,000名以上の方の面接やキャリア支援の経験を経て、より深く転職に関わりたいと思い、株式会社リクルートにジョインいたしました。現在は、法務・知財の領域を中心にキャリア選択のご支援をしています。

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