【経理】職務経歴書の書き方と見本・テンプレートダウンロード

握手をする人たち

求人に応募する際には、履歴書とともに職務経歴書の提出を求められることが一般的です。募集しているポジションで活躍できる経験・スキルを持っていたとしても、職務経歴書でしっかりと伝わらなければ面接へ進むチャンスを逃す可能性も考えられます。そこで、経理経験者が経理職への転職を希望する際の職務経歴書で強みを伝えるための書き方のポイントを、リクルートのキャリアアドバイザーがアドバイスします。ダウンロード可能なテンプレートも用意していますので、ご活用ください。

経理の職務経歴書のテンプレート見本【フォーマットダウンロード】

経理経験者が同職種での転職を希望する際の職務経歴書のサンプルをご紹介します。リンク先からダウンロードも可能ですので、見本を参考にしながらご自身の経歴を記入し、職務経歴書を作成しましょう。

経理の職務経歴書のテンプレート見本

経理の職務経歴書で企業が見ているポイント

経理職を希望する人の職務経歴書において企業が見ているポイントには、主に次のものが挙げられます。

自社の経理職に必要な経験・スキルがあるか

「経理業務全般を担当してもらいたい」「海外展開を加速させたいので、海外子会社の経理・決算経験のある人を採用したい」「経理業務の効率化を図りたいため、BPOへの移行を取り仕切った経験のある人が必要」など、企業の規模や成長フェーズ、抱えている課題などにより、企業が経理職に求める経験やスキルは異なります。

したがって、職務経歴書においても、自社が必要とする経理職に合致する経験やスキルを有しているかどうかという点に企業は着目します。

社風、業務特性に合っているか

すべての企業にあてはまるわけではありませんが、企業によっては、「自社の社風に合っているか」という観点で、企業の成長曲線のどの段階にある企業で働いていたかに着目したり、「自社で活躍してくれるか」という観点で、自社と親和性のある業種での経験の有無に着目したりする場合があります。

経理の職務経歴の書き方のポイント

企業が見ているポイントをふまえて、経理志望者が職務経歴を記載する際のポイントや積極的にアピールしたい経験・スキルには、次のものが例として挙げられます。

経験は余すことなく記載する

先述したとおり、企業は「自社の経理職に必要な経験・スキルを有しているか」という観点で職務経歴書を確認したいと考えています。したがって、これまで経験してきた業務は、余すことなく記載しましょう。列挙された業務経験から、「この人物が経験した業務のうち、3つはうちの会社に合うから面接で会ってみようか」などと企業は判断しますし、「この経験もしているなら、+αで任せられそうだ」といった判断をする場合もあります。

また、経理業務に隣接する業務、例えば、財務、管理会計、IR、監査などの経験がある場合も、漏れなく記載しておきましょう。企業によっては、これらの経験を評価する場合も考えられます。

これまで勤務してきた企業の「規模」「業界」「上場・非上場」を明記する

経理職の業務は、多くの企業で共通しているケースが少なくありません。しかし、企業規模や業界、上場・非上場などによって、職務内容が異なるため、どのような経験があるのかを職務経歴に明記しましょう。特に、上場企業に所属していた場合は「連結決算」「開示資料作成」「税務調査対応」「監査対応」「IR活動への関与」などの経験の有無は記載するようにします。

また、連結決算の経験がある場合、対象となる子会社の数と、海外子会社も対象にしていた場合はその旨も明記しましょう。子会社が多いほど複雑な業務を経験していると判断される可能性もあるため、評価アップにつながることも考えられます。そして、近年、企業の海外展開の動きが加速しているため、企業によっては、海外子会社の連結決算の経験や、国際会計基準(IFRS)や米国会計基準(US-GAAP)を扱った経験も評価される可能性があります。

加えて、「どのような組織・環境で行っていたか」を伝えることで、採用担当者は活躍のイメージを描くことができます。例えば、成長途上のスタートアップ企業などであれば「業務フローの整備」、急拡大後に安定期に入った企業であれば「利益率向上のためのコスト削減策」など、フェーズによって経験した内容が異なるはずです。その経験が活かせるフェーズの企業に応募する場合は、職務経歴書に「活かせる経験」の欄を設けて記載しておくことで、評価につながることもあるでしょう。

ニーズが高い経験は詳細を記載してアピールする

以下に挙げるような、昨今の経理職の中途採用市場でニーズが高い経験は、職務経歴書に記載しておくとプラス評価につながるケースもあります。経験をお持ちの場合は、多少に関わらず積極的に記載することでアピール効果が高まるでしょう。

「経理×IT」の知見・経験

経理業務へのITシステムの導入、あるいは刷新などのプロジェクトに関わった経験があり、システムへの理解があると高く評価される傾向にあります。

業務改善・業務効率化の経験

上記の「システム化」とも重複しますが、経理業務の改善プロジェクトなどに携わり効率化を実現した経験があればぜひアピールしましょう。社内での改善・効率化だけでなく、BPOを行うなど、業務を分業化して外部委託した経験があれば、記載しておくと良いでしょう。

語学力

少子高齢化で国内マーケットが縮小に向かう中、海外へ展開する企業が増えています。海外拠点のローカルスタッフとコミュニケーションがとれる語学力を持つ経理職のニーズが高まっています。語学を使って業務を行った経験がある場合、「どのように使っていたか(メール中心か会話もしていたか、など)」「どれくらいの頻度で使っていたか」など、採用担当者が具体的な業務イメージを持てるように記載しましょう。

IPO、M&Aに携わった経験

IPOに携わった経験がある場合、IPOを目指している企業から評価される傾向があります。同様に、M&Aに携わった経験も、M&Aを視野に入れている企業から評価されることがあるため、明記しておきましょう。

マネジメント経験も明記する

経理職は「スペシャリスト」という認識が強いケースも少なくなく、マネジメント経験があるのに職務経歴書に記載していない方も見受けられます。ハイクラス人材の採用となると、ピープルマネジメントの経験も注目されるポイントですので、記載しておくと良いでしょう。

加えて、経営陣への報告や、経営企画部門あるいは管理会計部門と連携・協働した経験など、経理業務に留まらずに経営に関与した経験や、それに近い経験があれば、明記しましょう。マネジメント層は、経理部門として自社の財政状態を可視化するだけでなく、そこから次の一手をどのように導き出すかを他部署と連携して検討することが求められることがあるため、経理部門に閉じない経験は、アピールポイントになります。

なお、マネジメントクラスの求人では、プレイングマネジャーとして実務も手がけられる人材が求められるケースが多数あります。部下の指導・マネジメントと同時に、自身で担っていた実務内容がわかるように記載すると良いでしょう。

一文で終わらせず、中身を記載する

何らかのプロジェクトを手がけた経験があれば、「○○システム導入」などの一言で終わらせず、中身を伝えましょう。特に、成果を挙げた経験に関しては、「背景」「課題」「取り組み」「成果」といった構成でそれぞれ1~2行程度にまとめて記載します。これにより、採用担当者は入社後の活躍をイメージでき、書類選考通過につながりやすくなるでしょう。

読みやすい職務経歴書の書き方

職務経歴書は、内容だけでなく「読みやすさ」と「わかりやすさ」も重要です。特に、経験豊富であるほど職務経歴の記載が多くなり、強みがどこにあるのかわかりにくくなる場合があるため、以下のポイントを押さえてよりアピール効果が高い職務経歴書に仕上げましょう。

事前に職務経歴をすべて書き出し、アピールしたい経験を整理・強調する

職務経歴書を作成するにあたっては、まず、これまでの「所属企業・部署・チーム」「手がけた業務」「成果」「身に付けたスキル」などをすべて書き出します。

その上で、アピールしたい経験・スキルはどれか整理しましょう。職務経験・実績が多い方ほど、そのまま羅列するだけではアピールしたい経験・スキルや得意分野が採用担当者に伝わりにくくなるため、職務経歴書に落とし込む際は次のようにメリハリをつけて記載すると良いでしょう。

  • 職務経歴のうち、アピールしたい経験や強みは、「成果」と「成果に至るまでのプロセスや独自の工夫」を簡潔に付記しておく。そうすることで、読み手が入社後の活躍イメージを描きやすくなる。
  • 特にアピールしたい点は、冒頭に100文字程度の「職務要約」として記載する。
  • これから目指すポジションと関連が薄い経験・スキルは、簡潔な記載にとどめる。

レイアウトを整え、読みやすくする

職務経験が多い、かつ過去に所属していた企業の事業内容や担当業務内容が直近の仕事と大きく異なる場合などは、直近の仕事内容から書き始め、時系列をさかのぼって職歴を記載する「逆編年体形式」のレイアウトにすると読み手に伝わりやすくなります。

また、「年・月」「企業名」「部署名」などの記載位置、各項目の見出し、本文の頭出し位置などを揃え、レイアウトに統一感を持たせましょう。

フォントも職務経歴書全体で統一します。書き方見本が記入された書式をダウンロードして使う場合、見本の文言を流用した箇所と自身で入力した箇所でフォントが異なってしまうことがあるため、注意が必要です。

文章だけでなく箇条書きも活用する

文章だけがつらつらと綴られた文書は、見た瞬間に「読むのが面倒」という印象を抱かれる場合があります。適度に箇条書きを活用することでリズムや読みやすさ生まれ、採用担当者の負担感が軽減されます。冒頭に「●」「・」をつけたり、項目を【  】で立てたりして、記載情報を整理しましょう。

例えば、次のような項目の記載には、箇条書きを使うとわかりやすくなります。

  • 業務内容が伝わる数字(担当顧客数/マネジメント対象メンバー数/プロジェクトの規模・期間など)
  • 業務で活用した技術、ツールなど
  • 成果が伝わる数字(売上実績/目標達成率など)
  • 課題とそれに対する戦略、独自に工夫したことなど
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アドバイザー

西川栄展

大学卒業後、金融機関において営業職に従事。その後、株式会社リクルートに入社し、ハイキャリア部門において金融領域を担当。現在は同じくハイキャリア部門にて経理・財務・管理会計・監査領域におけるキャリア支援に従事。

※本記事での内容は取材時点での情報になります。