広報の求人への応募書類に志望動機の記載を求められた場合、どのように書くのがよいでしょうか。リクルートエージェントのキャリアコンサルタントが、志望動機の書き方のポイントを解説します。志望動機の例文や、広報の採用トレンド、求められる経験・スキルなども併せてご紹介します。
広報の仕事内容
広報の仕事はいろいろな分類方法がありますが、大きく「社外広報」と「社内広報」2つに分けることができます。
・社外広報…自社や事業の認知度の向上や、企業価値の向上を目的とした、顧客やメディア、株主、社会など社外のステークホルダーとのコミュニケーション活動。主な内容として、プレスリリースの作成・発表、自社ホームページやSNS、マスメディアなどを活用した情報発信、企業ブランディング、危機管理広報(クライシスコミュニケーション)などがある。
・社内広報…従業員のモチベーションやエンゲージメントを高め、生産性向上や組織の成長を促すことを目的とした、従業員とのコミュニケーション活動。具体的な内容として、社内報などを通じた企業理念や経営方針、社内外の自社に関する情報の共有などがある。
なお、企業ブランディングや危機管理広報などは、社外だけなく社内広報業務にもまたがる場合があります。
広報の採用トレンドと求められる経験・スキル
広報の近年の採用ニーズの動向や、求められる経験・スキルには、次のものが一例として挙げられます。
採用ニーズ・トレンド
近年の広報の中途採用の求人数は、大きく増減することなく、一定数の求人があるという状況です。その中で、広報としての経験・スキルにプラスしてニーズが増加傾向にあるのが、次の4つの経験・スキルが求められる求人です。
デジタルチャネルを活用した広報経験
多くの企業において、SNSや自社ホームページ、ニュースプラットフォームなどが広報チャネルとして重視されている今、これらのデジタルツールを活用した広報経験のある人を必要とする求人が増加傾向にあります。特に、即時性が求められるためアウトソースしにくいSNSを用いたコミュニケーションを適切にできる人は、ニーズが高い状況にあるようです。
危機対応経験
自然災害や感染症の流行、事業展開先の国・地域での暴動、SNSでの炎上、不祥事など、企業が危機に陥る場面が少なからずあります。その際に社内外と適切なコミュニケーションをとり、タイムリーに正確な情報発信を行うなど、危機対応の経験がある場合、企業によってはプラスの評価がなされることがあります。
ESGの知見と情報発信の経験
企業経営においてESG(環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G))が重視されている中、自社の状況や取り組みを適切に社外に発信したいという企業の意向があり、ESGの知見と情報発信の経験を求める求人も増加傾向にあります。
企業ブランディングの経験
世の中の変化に伴い、多くの企業が変革を求められ、また、多様なスタートアップ企業が生まれている中、ブランディング強化のニーズも高まっています。一定の成長を遂げて成熟してきた企業において他社との差別化や認知度向上に力を入れるフェーズに入った、第二創業期にある、あるいは、企業合併・分離などを行ったために社員のモチベーションや社外からの見られ方を向上させたいなど、さまざまな背景から自社のブランディングを強化できる人を採用したい、という求人が見られます。
求められる経験・スキル
広報の業務内容や、ニーズが増加傾向にある業務をふまえると、次に挙げるスキルや知識がある人が、広報として企業に必要とされている傾向にあると考えられます。
コミュニケーション能力
社内外の事象を文章にまとめて必要な対象に向けて発信する、経営陣にヒアリングをしてその意図をふまえて社内外に情報発信をするなど、広報業務においてコミュニケーション能力は必須とも言えるでしょう。
リサーチ力
世の中の動向を把握し、どのようなタイミングでどんなキーワードを用いて発信すると、届けたいターゲットに響く情報発信ができるのか?というアンテナを張っていることも、広報に求められるスキルです。
デジタルチャネルの活用スキル・経験
SNSやニュースプラットフォームなど、デジタルの広報チャネルが多様化している昨今では、内容・目的・ターゲットに応じて最適なチャネルを判断し、適切な言葉で適切に情報を発信できることも、必要なスキルです。
タフネス
自身の発信を何万人もの人が見る可能性、企業として発信する情報に責任が発生する、経営陣のメッセージを的確に伝えなければならないなど、社外に対しても社内に対しても重責となる仕事ですから、タフネスも求められるでしょう。
マーケティングの基礎知識
必須ではありませんが、「ブランディングとは」「メディア・ツールごとの特性」「ターゲットの特性に応じた、響く情報の伝え方」など、マーケティングの基本的な知見があると、企業ブランディングなどに活かすことができるでしょう。
志望動機の基本構成
履歴書や職務経歴書で志望動機を伝える際には、次のような構成で記載すると採用担当者の納得を得やすくなるでしょう。
書き出し
応募企業に魅力を感じているポイントを簡潔に記しましょう。いきなりエピソードから書き始めると、文章に締まりがない印象を与える可能性があります。
応募企業を志望した理由
応募企業を志望した理由を伝えます。そのためには、これまでの経験もふまえつつ、「抱いている課題意識」「自身が仕事で大切にしたいこと・こだわりたいこと」などを挙げた上で、応募企業であればそれを実現できると考えていることを記載します。
活かせる経験・スキル
自身の経験・スキルが、応募企業でどのように活かせるかを伝えます。そのためには、これまで培ってきた経験・スキルと、応募企業で求められている要素との共通点を見つけ出すことが大切です。求人情報を確認し、マッチする経験・スキルがあれば、前面に押し出してアピールしていること一案です。
なお、企業が求めている経験・スキルとの共通点が見出しにくい場合には、「仕事の進め方」「企業理念」などに着目し、別の切り口から接点を見つける方法もあります。
入社後に実現したいこと
最後は応募企業で働く意欲が伝わるような言葉で締めくくります。入社後にどのような活躍・貢献がしたいかという意思表示をすることで、採用担当者の期待が高まるでしょう。
広報経験者が志望動機を書く際のポイント
特定の職種別採用においては、企業が求めている経験・スキルを求職者が持っているかどうかが重視される傾向にあります。
したがって、志望動機を書く際も、応募企業が目指す方向性やビジョンへの共感と、応募企業が求める経験・スキルと自身のスキルや強み、これまで担ってきた役割がマッチすること、そのマッチするスキルや強みを応募企業においてどのように発揮し、貢献していきたいか、などを伝えられるといいでしょう。
広報の志望動機の例文
上述したポイントをふまえて、広報の志望動機例文を紹介します。
貴社の企業理念と、その理念から生まれたサービスに共感し志望しました。現職では、広報チームのリーダーとしてマスメディアやニュースサイトなどさまざまなメディアとのリレーション強化に務め、SNS広報も含めた企業ブランディングの戦略立案と実行に取り組んできました。
この経験を活かし、第二創業期として新たな事業の柱を育てながら企業ブランディングに注力している貴社の企業価値向上に貢献したいと考えております。
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大竹芳菜
サービス、化粧品、人材業界でインストラクターやアドバイザーとして就業後、2006年株式会社リクルートエージェント(現株式会社リクルート)入社。コンシューマー領域(消費財、サービス、金融不動産他)の法人営業を経て、ハイキャリア領域コンサルタントに。現在はコンシューマー領域における戦略系企画人材及び法人を担当。
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