「責任感の強さ」を自己PRでアピールするには?効果的なポイントと注意点を紹介【例文あり】 

転職活動の自己PRで「責任感」を伝える場合、どのような点に注意すればより効果的なアピールにつなげられるのでしょうか。組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が、責任感を履歴書・職務経歴書の自己PR欄で伝える際のポイントや企業が確認していること、注意点などを解説します。自己PRの例文や作成する際の構成要素なども合わせてご紹介していきます。

「責任感」を自己PRで伝える場合のポイント

「責任感」をより解像度の高い表現にすると、「自身や組織の役割・ミッションに対して、責任を持ち成果につなげるスタンス」であると言えます。企業も、責任感をアピールする応募者に対しては、このスタンスを発揮できるかどうかを把握しようとするでしょう。 

この点をふまえると、責任感をアピールする場合のポイントとして、次の2点が挙げられるでしょう。 

  • 「責任感がある」とアピールするだけではなく、成果につながったことを伝える。 
  • 一般的な責任感ではなく、自身のエピソードに基づいた自分らしい「責任感」を伝える。 

「責任感が強みです」と伝えても、抽象的であり、自身や組織の役割に対してどのように責任を持ち成果につなげてきたのかがわかりづらいものです。エピソードに基づき、責任感の内容を端的に表現できると、どのように責任感を発揮してきたのかが具体的に伝わるでしょう。 

責任感をアピールする際の注意点として、アピールの仕方によっては「自身のやり方に固執して柔軟性に欠けるのでは?」「他の解決策や工夫を検討できないのでは?」などと受け止められる可能性があることが挙げられます。また、エピソードの内容によっては、単なる苦労話や自慢話に捉えられてしまってアピールにならない場合や、応募者の業界や企業に限ったもので相手企業には理解できない・伝わらないといった事態に陥る場合があることにも注意しましょう。 

「責任感」の自己PR例文

「責任感」を強みとして伝える場合の自己PR例文を、職種別にご紹介します。 

営業マネジャーの自己PR例文

私の強みは、「任された数字に対する責任感」です。個人の目標数字だけでなく、メンバーおよびチームの目標達成にも責任を持って臨んでいます。

1年前に新設された大手法人チームのプレイングマネジャーとして従事し、新しいサブスクリプションサービスの拡販をミッションに、チームで一致団結し取り組んできました。

自社の業績を大きく左右する役割であり、経営陣の期待も高いがゆえに、かなり高い目標数字が課されていましたが、その中で自ら先んじて行動して事例を作るなどを徹底。全員が顧客の期待に応え続けることに注力し、信頼関係を構築することで、初年度から目標数字を10%近く上回る売上実績を上げることができました。

貴社においても、顧客志向で求められるサービスは何か徹底的に考え抜き、責任をもって目標数字にコミットしたいと考えています。

<ポイント> 

この例文のように、売上目標達成に対する責任感は、営業マネジャーを採用する際の重要な評価ポイントになり得ます。そのほか、担当顧客の期待に応える責任感、メンバーの育成及び営業力に対する責任感、売上をけん引し会社の業績を支える責任感などをアピールするのもいいでしょう。

商品企画・管理職の自己PR例文

難しい局面や高い目標に対しても、粘り強く挑み結果を出す「責任感」が私の強みです。

具体的には、現職(コンビニエンスストアチェーンの商品企画)において、年間売上目標○億円をミッションとする部署にて、マネジャーとして○億円の予算規模のコラボ商品の企画・開発を複数完遂しました。予算やプロモーション方法などにおいて関係者間の考え方に相違が生じ、暗礁に乗り上げる場面もありましたが、課題を細分化して各社の役員クラスも巻き込みながら粘り強く交渉を重ねました。加えて、派生企画や自社の購買者データの提供など、コラボレーションを行う2社への付加価値を提示するなどして関係者の足並みをそろえ、最終的には歴代トップクラスの月間売上を記録し、年間売上目標も達成しました。企画自体も第2弾、第3弾と継続しています。

このようにして、貴社においても、課題を見極め、解決策を提示してミッションを完遂していきます。

<ポイント> 

商品企画職の場合は、「売れる商品」を一から企画し世に出すまで一貫してやり切る姿勢を「責任感」としてアピールするといいでしょう。売上高や目標達成率など、数字で示せるものがあれば併せてアピールすると、責任感の強さの裏付けにもなります。

プロダクトマネジャー職の自己PR例文

顧客を理解し、粘り強く課題解決に取り組む「責任感の強さ」が私の特長です。

プロダクトマネジャーを務めた飲食・小売業界向けの顧客データ分析ツールの新規開発プロジェクトにおいて、メンバーの技術力は十分である一方、業界知識やビジネスへの理解が不足しており、大規模データの連携・加工・分析の部分に課題がありました。

そこで、社外のコンサルタントとの連携や、飲食・小売企業の現場への訪問・ヒアリング、テスト導入の機会を設定し、現場の情報を基に改良を重ね、高精度のデータ分析が可能なプロダクトをローンチしました。顧客企業からは、1to1マーケティングの精度が上がり、来客数が導入前から○%増加したという報告を受けています。

このような、よりいいものを提供するという責任感を持ち、顧客を知り、課題解決に取り組み成果につなげる姿勢を、貴社の事業においても発揮していきたいと思っています。

<ポイント> 

この例文のように、顧客・ユーザーに対する責任感をアピールするのは一つの方法です。顧客やユーザーにとって有用な課題解決となり、かつ売り上げ拡大につながるプロダクトを作る(もしくは改善する)ための責任感は、再現性があるパーソナルスキルとして評価されやすいでしょう。

広報・管理職の自己PR例文

正解がないミッションにおいても試行錯誤を重ね、責任を持ってミッションを達成できるのが私の強みです。

現職においては、新設された社外広報チームの体制構築を任され、継続的かつ戦略的に業務を進められるようチームビルディングを行いました。具体的には、社外広報に関するノウハウが社内にない中、地道にメディアとの関係構築を進めてカバーするメディア数を増やすとともに、コンスタントにプレスリリースを発信して効果的な発信のノウハウを蓄積していきました。当初は社外広報の必要性に懐疑的だった事業部からも、営業活動に間接的に貢献する案件が生じたことを契機に定例ミーティング実施の賛同を得て、経営陣との定例ミーティングとあわせて連携体制を構築することができました。商品の問い合わせ件数も昨対比で○%増加しています。

貴社においても、この力を発揮していきたいと思います。

<ポイント> 

広報の重要な役割の一つは、企業イメージや企業ブランドの向上です。SNSのフォロワー数や掲載メディアのPV数などの増加に関する責任感や、メディアや各ステークホルダーとの関係性強化などに対する責任感をアピールするのが有効と考えられます。

自己PRで採用担当者が確認していること

企業の採用担当者が、履歴書や職務経歴書の自己PRを読んで確認しているポイントは主に次の2つが挙げられます。 

  • 職務経歴だけではつかめない、その人の強み(スキル・実績・取り組み姿勢)など。 
  • その強みを活かし、自社でどのように活躍・貢献してくれそうか。 

責任感をアピールする応募者に対しては、大きくわけて、次のいずれかの力を持った人物であるかどうかを確認し、見極めようとするケースが多いようです。これらの力が伝わるよう、エピソードや、それに基づく自分らしい「責任感」の説明をするといいでしょう。 

やり切る力

結果に責任を持ち、自分がすべての責任を取る覚悟を持って取り組んだ経験があるかどうか確認したいと考える企業は少なくないようです。仮にその時の結果がベストではなかったとしても、自ら責任を背負い、最後までやり切った経験は貴重です。その成功経験・失敗経験を活かして、自社でも重要なミッションを遂行してくれるのではないかと考える企業は多いと思われます。 

決断力

ビジネスにおいては「これが正解」というものはなく、さまざまな選択肢の中から「これがベストだ」と判断し決断する力が求められます。

例えば、自社の業績や経営状況、競合他社の状況、自社や業界を取り巻く状況などを考慮しながら分析し、さまざまなリスクも想定ながら仮説を立て、決断をしなければなりません。

当然ながらうまくいかないケースもあり、軌道修正する必要もあると思われますが、状況を分析し、場合によっては周囲を説得しながら決断を下し、その決断に責任を持って対応し続けてきた経験は、マネジメント人材として求められる要素と言えます。

「責任感」を自己PRで伝える場合の注意点

自己PRで責任感をアピールする際に、注意しておきたいポイントをご紹介します。

独りよがりのエピソードになっていないか 

マネジメント層に求められるのは、メンバーなど周囲と協働しながら責任感を持って物事を推し進めた経験です。したがって、責任感を示すにあたり、自分の活躍や成果ばかりを前面に出し過ぎると、「自分の意見を通し過ぎて、社内のメンバーとうまく協働できないのではないか」「柔軟性に欠け、他者の意見を聞き入れないのではないか」などと懸念を抱かれる可能性があるので注意しましょう。

肩書きや役職を主張し過ぎていないか

自己PRのなかで「事業責任者として」「プロジェクトマネジャーという立場で」など、肩書や役職を何度も繰り返すケースが見受けられます。あまりに連呼し過ぎると、「肩書きばかりにこだわるタイプで、実際には責任を持って行動できていないのではないか」と穿った見方をされる可能性もあります。

また、「役職や肩書がないと主体的に行動できない人なのではないか」「役職・肩書きへのこだわりが強すぎるのかもしれない」などと不安視される可能性も考えられます。

自己PR文の作り方のコツ

自己PRは、履歴書と職務経歴書の両方に記載するケースが一般的です。枠のサイズが決まっている履歴書よりも、職務経歴書は文字量の自由度が高いため、まずはおおむね200~400字を目安に職務経歴書用に文章を作成するのがお勧めです。 

その後、職務経歴書用に作成した自己PR文を簡潔にまとめ、履歴書に記載しましょう。この順番で作成すれば、履歴書と職務経歴書の内容に齟齬が生じることもありません。履歴書での文字量の目安は100~150字程度が一般的です。 

職務経歴書用の文章は以下のような構成でまとめるといいでしょう。 

【1】書き出し

書き出しには、強み、経験領域、こだわりなどを記載します。ここで「責任感」を入れておくとわかりやすいでしょう。

【2】【1】を裏付けるエピソード

最初の一文で打ち出したアピールポイントについて、これまでの経験の中でどう発揮されてきたのかを読み手がイメージできるよう、具体的なエピソードを記します。
開示できる範囲内で数字や固有名詞なども盛り込むと、手がけてきた仕事の規模感やイメージが伝わりやすくなります。
ただし、長文をダラダラと書くと要点が掴みにくくなります。200~400文字程度にまとめてください。

【3】成果

【1】の強みが発揮され、【2】のプロセスを経て、成果が挙がったことがあれば記載します。
数字や周囲からの評価など、客観的な情報を伝えましょう。

【4】締め

応募企業で働くことへの意欲が伝わるような言葉で締めくくりましょう。
入社後にどのような活躍・貢献がしたいかという意思表示をすることで、採用担当者の期待が高まります。

自己PR文を作成する際によくある伝わらないケース

自己PR文を作成する際、内容や表現がずれていると、アピールポイントが伝わらないばかりか、マイナス印象を与えてしまうこともあります。

以下の「陥りがちなケース」に注意して、自己PR文を作成しましょう。

企業が求める人物像にマッチしていない

自身では「強み」と認識しているアピールポイントも、応募企業がそれを求めていなければ、自己PRの効果は望めません。企業のホームページや採用情報などを読み込み、その企業ではどのような人材が活躍しているのか、どのような人材を求めているのかを掴みましょう。 

その上で、企業が求める要素と自身の強みが一致しているポイントをピックアップし、アピールするといいでしょう。 

具体性に欠け、人柄がイメージしにくい

曖昧で抽象的な表現は避けましょう。例えば「責任感の強さに自信があります」だけでは、日頃の業務で責任感がどのように発揮されているのかが伝わりません。 

「どのような相手と」「どのような場面で」「どのようなスタイルで」「どのようなことを心がけて」など、スキルの要素を細かく分解し、具体的なエピソードを交えて記載しましょう。そうすれば、読み手は入社後の活躍のイメージを描くことができます。 

要点が絞られていない

アピールポイントが多すぎると、読み手の印象に残りにくくなります。文章が冗長になると、「要点をわかりやすく伝えられない人」と、マイナスに捉えられてしまうこともあります。伝える強みは1つ、多くても3つ以内に絞りましょう。

専門用語が多く、分かりやすさに欠ける

異業界の企業に応募する場合、これまでの業界の専門用語を多用しないように注意しましょう。読み手は内容を理解できないばかりか、「読み手に対する配慮に欠けた人」とマイナスの印象を抱くかもしれません。 

専門用語はなるべく使用せず、業界以外の人にも伝わるような一般的なワードに置き換えるか、括弧書きなどで説明を添えるといった工夫をしましょう。 

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アドバイザー

粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。