「責任感」を自己PRで伝える場合のポイントと自己PR例文

転職活動の自己PRで「責任感」を伝える場合、どのような点に注意すればより効果的なアピールにつなげられるのでしょうか。組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏に、責任感を自己PRで伝える際のポイントや企業が確認していること、注意点などを伺いました。自己PRの例文や作成する際の構成要素なども合わせてご紹介していきます。

「責任感」を自己PRで伝える場合のポイント

「責任感」をより解像度の高い表現にすると、「自身や組織の役割・ミッションに対して、責任を持ち成果につなげるスタンス」と言えます。企業も、責任感をアピールする応募者に対しては、このスタンスを発揮できるかどうかを把握しようとするでしょう。

この点をふまえると、責任感をアピールする場合のポイントとして、次の2点が挙げられます。

  • 責任感があるというだけではなく、成果につながったことを伝える
  • 一般的な責任感ではなく、自身のエピソードに基づいた自分らしい「責任感」にする

2については、「責任感の強さが強みです」と伝えても、抽象的で、自身や組織の役割に対してどのように責任を持ち成果につなげるのかがわかりづらいものです。エピソードに基づき、どのような責任感なのかということを端的に表現できると、自身の責任感の発揮の仕方がより具体的に伝わるでしょう。

責任感をアピールする際の注意点として、うまく伝えなければ「柔軟性に欠けるのでは?」「他の解決策や工夫を検討できないのでは?」などと受け止められる可能性があることが挙げられます。また、エピソードの内容によっては、単なる苦労話や自慢話、成功談に聞こえてアピールにならない場合や、応募者の業界や企業に限ったもので相手企業には理解できない・刺さらないといった事態に陥る場合があることにも注意しましょう。

「責任感」の自己PR例文

「責任感」を強みとして伝える自己PR例文を職種別にご紹介します。

商品企画・管理職の自己PR例文

難しい局面や高い目標に対しても、粘り強く挑み結果を出す「責任感の強さ」が私の強みです。
具体的には、現職(コンビニ企業の商品企画)において、年間売上目標○億円をミッションとする部署にて、マネジャーとして売上○億円規模のコラボ商品の企画・開発を複数完遂しました。予算やプロモーション方法などにおいて関係者間の考え方に相違が生じ、暗礁に乗り上げる場面もありましたが、課題を細分化して各社の役員クラスも巻き込みながら粘り強く交渉を重ねました。加えて、派生企画や自社の購買者データの提供など、コラボレーションを行う2社への付加価値を提示するなどして関係者の足並みをそろえ、最終的には歴代トップクラスの月間売上を記録し、年間売上目標も達成しました。企画自体も第2弾、第3弾と継続しています。
このようにして、貴社においても、課題を見極め、解決策を提示してミッションを完遂していきます。

プロダクトマネジャー職の自己PR例文

顧客を理解し、粘り強く課題解決に取り組む「責任感の強さ」が私の特長です。
プロダクトマネジャーを務めた飲食・小売業界向けの顧客データ分析ツールの新規開発プロジェクトにおいて、メンバーの技術力は十分である一方、業界知識やビジネスへの理解が不足しており、大規模データの連携・加工・分析の部分に課題がありました。
そこで、社外の飲食・小売業界を専門とするコンサルタントとの連携や、飲食・小売企業の現場への訪問・ヒアリング、テスト導入の機会を設定し、現場の情報を基に改良を重ね、高精度のデータ分析が可能なプロダクトをローンチしました。まだ導入初期段階で改善点はありますが、顧客企業からは、1to1マーケティングの精度が上がり、来客数が導入前から○%増加したという報告を受けています。
このような、より良いものを提供するという責任感を持ち、顧客を知り、課題解決に取り組み成果につなげる姿勢を、貴社の事業においても発揮していきたいと思っています。

広報・管理職の自己PR例文

正解がないミッションにおいても試行錯誤を重ね、責任を持ってミッションを達成できるのが私の強みです。
現職においては、新設された社外広報チームの体制構築を任され、継続的かつ戦略的に業務を進められるようチームビルディングを行いました。具体的には、社外広報に関するノウハウが社内にない中、地道にメディアとの関係構築を進めてカバーするメディア数を増やすとともに、コンスタントにプレスリリースを発信して効果的な発信のノウハウを蓄積していきました。当初は社外広報の必要性に懐疑的だった事業部からも、営業活動に間接的に貢献する案件が生じたことを契機に定例ミーティング実施の賛同を得て、経営陣との定例ミーティングとあわせて連携体制を構築できました。商品の問い合わせ件数も昨対比で○%増加しています。
貴社においても、この力を発揮していきたいと思います。

自己PRで採用担当者が確認していること

採用担当者が、履歴書や職務経歴書の自己PRを読んで確認しているポイントは次のとおりです。

  • 職務経歴だけではつかめない、その人の強み(スキル・実績・取り組み姿勢)など
  • その強みを活かし、自社でどのように活躍・貢献してくれそうか

責任感をアピールする応募者に対しては、大きく、次のいずれかの力を持った人物であるかどうかを見極めようとします。

  • 役割・ミッションに対しての、やり切る力や徹底力、遂行力、粘り強さ、達成意欲。また、自主性や主体性、創意工夫
  • 胆力や決断力。正解のない仕事において、組織や事業の責任を負い、課題設定や仮説を構築し、実行・修正していく力

したがって、責任感をアピールする場合、上記のいずれかが伝わるよう、エピソードや、それに基づく自分らしい「責任感」の説明をするとよいでしょう。

自己PR文を作成する際には、これらのポイントを意識してみてください。
自己PR内容が興味を持たれれば、「よりくわしい話を聞いてみたい」と、面接に招かれる確率が高まります。

自己PR文の作り方のコツ

履歴書や職務経歴書に自己PRを記載する際は、以下の構成を意識して文章を作成しましょう。

【1】書き出し

書き出しには、強み、経験領域、こだわりなどを記載します。ここで「責任感」を入れておくとわかりやすいでしょう。

【2】【1】を裏付けるエピソード

最初の一文で打ち出したアピールポイントについて、これまでの経験の中でどう発揮されてきたのかを読み手がイメージできるよう、具体的なエピソードを記します。
開示できる範囲内で数字や固有名詞なども盛り込むと、手がけてきた仕事の規模感やイメージが伝わりやすくなります。
ただし、長文をダラダラと書くと要点が掴みにくくなります。200~400文字程度にまとめてください。

【3】成果

【1】の強みが発揮され、【2】のプロセスを経て、成果が挙がったことがあれば記載します。
数字や周囲からの評価など、客観的な情報を伝えましょう。

【4】締め

応募企業で働くことへの意欲が伝わるような言葉で締めくくりましょう。
入社後にどのような活躍・貢献がしたいかという意思表示をすることで、採用担当者の期待が高まります。

自己PR文を作成する際の注意点

自己PR文を作成する際、内容や表現が不適切だと、アピールポイントが伝わらないばかりか、マイナス印象を与えてしまうこともあります。
自己PR文の作成にあたり、以下のポイントに注意してください。

企業が求める人物像にマッチしていない

自身では「強み」と認識しているアピールポイントも、応募企業がそれを求めていなければ、自己PRの効果は望めません。企業のホームページや採用情報などを読み込み、その企業ではどのような人材が活躍しているのか、どのような人材を求めているのかを掴みましょう。
その上で、企業が求める要素と自身の強みが一致しているポイントをピックアップし、アピールすると良いでしょう。

具体性に欠け、人柄がイメージしにくい

曖昧で抽象的な表現は避けましょう。例えば「コミュニケーション力に自信があります」だけでは、日頃の業務でコミュニケーション力がどのように発揮されているのかが伝わりません。
「どのような相手と」「どのような場面で」「どのようなスタイルで」「どのようなことを心がけて」など、スキルの要素を細かく分解し、具体的なエピソードを交えて記載しましょう。そうすれば、読み手は入社後の活躍のイメージを描くことができます。

要点が絞られていない

アピールポイントが多すぎると、読み手の印象に残りにくくなります。文章が冗長になると、「要点をわかりやすく伝えられない人」と、マイナスに捉えられてしまうこともあります。
伝える強みは1つ、多くても3つ以内に絞りましょう。

専門用語が多く、分かりやすさに欠ける

異業界に応募する場合、これまでの業界の専門用語を多用しないように注意しましょう。
読み手は内容を理解できないばかりか、「配慮に欠けた人」とマイナスの印象を抱くかもしれません。
専門用語はなるべく使用せず、業界以外の人にも伝わるような一般的なワードに置き換えるか、括弧書きなどで説明を添えるといった工夫をしましょう。

【アドバイザー】

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

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